日頃使っている剣道具ですが、そのパーツごとの名称は案外知らなかったりします。
今回は、剣道具の各部分の名称をまとめてみました。剣道具を選ぶ時の参考になれば幸いです。
目次
剣道防具について
剣道具とは
剣道具とは、剣道の際、打突から身体を保護する道具のこと。全日本剣道連盟の規定では、正式名称を剣道具(けんどうぐ)といいます。(文部科学省では、防具と呼称。)
剣道具には、面(めん)、小手(こて;籠手、甲手、篭手とも表記)、胴(どう)、垂(たれ)の4種類からなっています。また、布団の刺し方の違いによって、手刺し、機械(ミシン)刺しの2種類に分けることができます。
・面 頭部と喉を保護するもの。頭頂部から肩までは、一枚の刺し子(面布団)で覆われており、顔面の部分は、竹刀で顔を傷つけないように格子状の金属(面金)で作られています。
・小手 手から前腕までを保護。主に、鹿革や合成皮革で作られた小手頭(拳部分を保護)と、筒状の刺し子で作られた小手布団(腕を保護)でできています。
・胴 胸から腹、腋下を保護するもの。主に、硬い芯材を牛革で覆った胴胸(胸部分を保護)と、ファイバーや樹脂、竹などで作られた胴台(腹・腋下を保護)でできています。
・垂 腰、局部を保護するもの。全体が刺し子でできており、垂帯、3枚の大垂、2枚の小垂からなっています。
知っておきたい用語
・布団 剣道具の基本となる生地で、芯材・紺反・紺革から作られ、打突の衝撃を緩衝するもの。
・芯材 布団の強度をあげるために、中に入れるもの。毛仙や真綿、不織布などが使われています。
最近では、消臭効果のあるものや形状記憶素材が用いられるものもあります。
・紺反 藍染めの木綿のこと。7,000番などの数字は番手といい、生地のキメの細かさを表します。
番手が大きくなるほど、キメの細かい重厚な生地となります。
・紺革 鞣した鹿革を藍染めしたもの。
・手刺し 文字通り、人の手で刺していく方法。時間も手間もかかるので、機械(ミシン)刺しより
値段が高くなります。高段者や試合・審査用に着用されることが多いです。刺し幅は、1分
5厘のように表し、数字が小さいほど細かくなります。
・機械(ミシン)刺し ミシンで刺していく方法。手刺しに比べると手間がかからないので、安価な
ものが多いです。ミシン刺しの中でも、針足を長く刺し上げるピッチ刺しは、手刺しに近い
風合いになっています。ミシン刺しの場合の刺し幅は、6ミリのように表します。手刺しと
同様に、数字が小さい方が刺し幅が細かくなります。
(1)面(めん)
① 面(めん)布団(ぶとん) |
② 面(めん)金(がね)(台(だい)輪(わ)) |
② 面(めん)金(がね)(縦(たて)金(がね)) |
② 面(めん)金(がね)(横(よこ)金(がね)) |
③ 物見(ものみ) |
④ 突き垂(つきだれ)・顎(あご) |
⑤ 顎止め(あごどめ)革(かわ)・閂(かんぬき) |
⑥ 面(めん)紐(ひも) |
⑦ 面乳(めんち)革(かわ) |
⑧ 耳(みみ)革(かわ)・力(ち)革(かわ) |
⑨ 面(めん)縁(ぶち) |
⑩ 内輪(うちわ) |
⑪ 天(てん) |
⑫ 地(ち) |
⑬ 用心(ようじん)垂(だれ) |
肩から頭頂部を覆う一枚の布団。
② 面(めん)金(がね)(台(だい)輪(わ)、縦(たて)金(がね)、横(よこ)金(がね))
外周部の台輪と、縦方向に1本の縦金、横方向に14本の横金(少年用は13本)により成り、顔面の膨らみに沿うような湾曲した形になっている。以前は、鉄・ステンレス・洋銀などが使われていたが、近年は軽量化が進み、ジュラルミン(軽合金)・チタン・オールチタンが主に用いられるようになっている。
③ 物見(ものみ)
視界を確保するために、横金同士の間隔を他よりも広く取ってあるところ。面金(横金)の上から6本目と7本目の間(少年用は5本目と6本目の間)になっている。
④ 突き垂(つきだれ)・顎(あご)
喉を保護する部分。突きを受けるところなので、特に強固に作られている。
⑤ 顎止め(あごどめ)革(かわ)・閂(かんぬき)
⑥ 面(めん)紐(ひも)
⑦ 面乳(めんち)革(かわ)
面紐を取り付けるための革。一般に下から4本目または5本目の横金に左右一つずつ取り付け、それぞれ1本の面紐をつける。
⑧ 耳(みみ)革(かわ)・力(ち)革(かわ)
⑨ 面(めん)縁(ぶち)
面金と面布団の接続部を覆う部分。水牛の革が用いられ、光を取り込み視界を広くする目的で、内側を赤く、外側を黒く塗ってあるものが多い。
⑩ 内輪(うちわ)
面の内側で、面金を取り巻くように、5cm程の幅の丸い輪になっている部分。
⑪ 天(てん)
⑫ 地(ち)
⑬ 用心(ようじん)垂(だれ)
突き垂の後ろにあり、突きの衝撃を和らげたり、突きが突き垂から外れてしまったときに首と喉を保護したりする部分。
(2)小手(こて)
① 小手頭(こてがしら) |
② 生子(けら) |
③ 小手(こて)布団(ぶとん)
甲手(こて)布団(ぶとん) |
④ 筒(つつ) |
⑤ 雪(ゆき)輪(わ)
|
⑥ 手(て)の内(うち) |
⑦ 小手(こて)紐(ひも) |
① 小手頭(こてがしら)
拳を保護する部分。鹿革や合成皮革、織刺などの素材が使用され、内部のクッションには鹿毛や合成皮革などが用いられている。先端部部は、親指を入れる部分が他の指を入れる部分と分かれている。
② 生子(けら)
小手頭と筒の間の盛り上がった部分。手首を保護するため、硬めに作られている。少年用などにはなく、1段のものと2段のものがある。
③ 小手(こて)布団(ぶとん)
小手の腕部分で、打突部位になるところ。一枚の布団を筒状に折り曲げて作られている。
④ 筒(つつ)
小手頭と小手布団をつなぐ手首の部分。可動性が必要なため他の部分より柔らかく作られているが、飾り糸などで強度が高められている。
⑤ 雪(ゆき)輪(わ)
親指と人差し指の間や指先など、竹刀の鍔が当たる部分を補強するために縫い付けられた革。
⑥ 手(て)の内(うち)
手のひらの部分。竹刀を握るために、合成皮革やクラリーノなど柔軟性と耐久性のある薄い革で作られている。
⑦ 小手(こて)紐(ひも)
小手布団を筒状につないだ紐。手首の可動性を確保している。
(3)胴(どう)
② 胸乳(むねち)革(かわ) |
① 胴(どう)胸(むね) |
③ 曙光(しょっこう)・蜀光(しょっこう) |
④ 胸飾り(むねかざ) |
⑤ 小胸(こむね) |
⑥ 胴乳(どうち)革(かわ)
・四(よ)ツ(つ)乳革(ちかわ) |
⑦ 胴(どう)台(だい) |
⑧ 縁(へり)革(かわ) |
⑨ 胴(どう)紐(ひも) |
⑩ 綴じ革(とじかわ) |
⑤ 足(あし) |
⑪ 中輪(なかわ) |
① 胴(どう)胸(むね)
胴の胸の部分のこと。硬い芯材を牛革や鹿革で覆われた作りになっている。
② 胸(むね)乳革(ちかわ)
胸上部に左右1つずつ付けられている輪状の革部品。胴を装着する時に胴紐を通して結ぶためのもの。
③ 曙光(しょっこう)・蜀光(しょっこう)
胴胸中央に施される、花菱や麻の葉などの伝統的な文様の刺模様のこと。
④ 胸飾り(むねかざ)
曙光(しょっこう)(蜀光(しょっこう))の周囲を囲うように入れられた糸飾り。剣先の滑り止めの役割がある。
⑤ 小胸(こむね)・足(あし)
小胸は、胴胸のうち、脇腹部分を保護する部分のこと。足は、小胸に入れられた飾りのこと。2本入れられているものは2本足という。通常は1~3本。
⑥ 胴乳(どうち)革(かわ)・四(よ)ツ(つ)乳革(ちかわ)
胴台の端につけられた、左右2つずつの輪状の革製品。胴紐を通し固定するもの。
⑦ 胴(どう)台(だい)
胴の腹部分のこと。打突から腹・脇下を保護するもの。ファイバーや樹脂、竹などで作られる。
⑧ 縁(へり)革(かわ)
胴台と胴胸を組み合わせる際に、胴台の脇および下部を覆う革。胴台の縁を摩耗や破損から保護するもの。革を折り返して処理する返しべりと、切ったままの切りっぱなしの2種類がある。
⑨ 胴(どう)紐(ひも)
胴を身体に固定する紐。左右2本ずつあり、上が長く、下が短いものとなっている。
⑩ 綴じ革(とじかわ)
縁革を綴じる革。
⑪ 中輪(なかわ)
昔、防具を1つにまとめて吊していたときに用いられた輪。最近ではあまり防具は吊さず、ロッカーや棚に置くようになったため、お守りを付けるのに用いられたりしている。
(4)垂(たれ)
① 前帯(まえおび)・腹帯(はらおび) |
② 垂(たれ)紐(ひも)・垂帯(たれおび)
|
③ 山路(やまみち) |
④ 飾(かざ)り |
⑤ 大垂(おおだれ) |
⑥ 小垂(こたれ)(こたれ) |
① 前帯(まえおび)・腹帯(はらおび)
② 垂(たれ)紐(ひも)・垂帯(たれおび)
③ 山路(やまみち)
前帯(腹帯)と大垂・子垂を接続する、飾りとして装飾する糸のこと。
④ 飾(かざ)り
⑤ 大垂(おおだれ)
⑥ 小垂(こたれ)
5枚ある垂のうち、後ろ側の2枚の小さめな垂。
剣道具の名称を知り、愛着を深めよう
たとえば、防具屋さんに行ったときに、求める部品の名前はきちんと言えたほうがいいですよね。自分の使う道具についてきちんと知ることが、道具を大切にする第一歩です。名称を知り、細部まで丁寧に見てみると、日本の職人さんによる伝統の技の細やかさに心打たれ、剣道具達にますます深い愛着がわいてくる気がしませんか?
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