「剣道も執筆も基本が大事」 小説家・岩井圭也さんインタビュー

2019年5月27日 • インタビュー • Views: 12113

今回は小説家の岩井圭也さんにインタビューさせていただきました。2019年4月に発売された『夏の陰』はご自身が大切に思っていらっしゃる剣道がテーマ。小説家というキャリア選択や、学生時代の剣道について話を聞くことができました!

「何事も近道はないのだな」と改めて感じたインタビューとなりました。

 

文:BUSHIZO 上島

写真:BUSHIZO 工藤

 

岩井圭也(いわい・けいや)

北海道大学大学院農学院修了。2018年に『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞し本格的に作家デビュー。今回第2作目となる『夏の陰』を上梓した。小学校5年生から始めた剣道は四段の腕前。

 

剣道のご経験

ー剣道を始めたきっかけを教えていただけますか?

岩井「小学5年生の時に近くの体育館でやっていた剣道教室を見たのがきっかけですね。親に勧められて、自分も興味があったので始めました」

 

ーそこから大学院まで続けられたのですよね?

岩井「中断した時期もあったのですが、小学5年生から大学院までずっと剣道をやっていましたね」

 

ー辛いだけだと続かないと思うのですが、ここまで続けられたというのは剣道やっていて楽しいことがあったのでしょうか?

岩井「私は試合に勝てないタイプの選手だったので、試合に勝って楽しかったという思い出はあまりありません。できなかった技ができるようになったりということは楽しいと思っていましたね」

 

ー剣道やっていて良かったことは何だと思われますか?

岩井「いっぱいあると思いますけれども、『集中力を養うことができた』ということでしょうか。小説執筆にも活きていると感じます。小説執筆も集中して1人でやり遂げなければいけませんが、剣道も個人競技であり1人で集中して稽古していくものだと思います。共通点は感じますね」

 

ー小説を書き始めたきっかけを教えていただけますか。

岩井「自分が小学生の頃大好きだった雑誌連載があったのですが、連載が一年で終わってしまった。その物語の続きを書いてみたいと思ったことがきっかけですね。

でも、なかなか最後まで書ききることができなくて、そんな状況は大学の時までずっと続いていました。これではよろしくないということで、何が書ききれない原因なのかと分析しました。そこで読書量が足りないのではないかと思ったんですね。そこから大学院を卒業するまで、ひたすらインプットに努めました。社会人になって少し落ち着いた時に『今なら書ききれるのではないか』と思い試してみたところ書ききることができました」

 

ーすぐに書くことができたわけではないのですね!恥ずかしながら私(上島)も小説を書いていた時期があるのですが、どうしても最後まで書ききることができませんでした。私はそこで諦めてしまったのですが、なぜそこでインプットが足りないと分析することができたのでしょうか。

岩井「剣道でも地力が大事です。例えば剣道の基本がめちゃくちゃな人が、いきなり上達するのは難しいですよね?小説でもまず基本となるものを身に付ける必要があると考えました。その基本を身に付ける1つの訓練として、読書が必要なのではないかと思ったのです」

 

ーとてもわかりやすい例えですね!

岩井「自分の中で苦手としていた純文学を読んだりしました。読書量を増やす中で自分が魅かれる文章、魅かれない文章を整理することができた気がします」

 

ー実際に小説家になられてどんなことがやりがいですか?

岩井「私は小説を書くのが大好きで小説家になったタイプの人間なので、小説を書くことでお金をもらえる本当に素晴らしい職業だなと思っています。毎日小説を書いていますから」

 

ー私たちも剣道が大好きで剣道の仕事をしていますが、毎日ほんとに楽しいです。

岩井「私も大好きなことを仕事にしているので毎日楽しいですよ」

 

ー毎日執筆されるのは大変だと思われないですか?

岩井「先ほど小説を書き上げるのは難しいという話がありましたが、剣道と同じでコツコツと毎日積み重ねて努力することでしかゴールに到達することができません。努力もしていないのに、実力がポーンと伸びるという事はないと思います。毎日の積み重ねがないと難しいですね。毎日すこしでも前に進んでいれば、いつかゴールにたどり着くんです

 

ーなにごとも近道はないですね。

 

新作「夏の陰」

 

ー夏の陰を書いたきっかけを教えてください。

岩井「受賞後の大事な第2作目は、自分の人生の中で大切な存在である剣道の小説を書きたいと思っていました。

この小説では犯罪加害者の息子、犯罪被害者の息子が出てきます。犯罪が起こった後の関係者の境遇に思うところがあったので、剣道というテーマと絡めて小説にできないかなと思ったのです」

 

ー拝読させていただいたのですが、読了後に頭に浮かんできたのは「活人剣」(かつにんけん)と言う言葉でした。

岩井「まさにそういったことを意識して書きました。装丁も一目で剣道の小説だと分かりますし、よい作品になったと思っています」

 

ー辛いことから目をそむけずに立ち向かうことで、新たな道が拓けていくということがとてもわかりやすく表現されていると感じました。

岩井「ありがとうございます。剣道をやっている方にも剣道をやっていない方にも楽しんでいただける小説を目指して書いたので、たくさんの人に読んでいただければ嬉しく思います」

 

今後の目標

岩井「読んだ方の記憶に残るような小説を書きたいと思います。ストーリーが面白かったというのでもいいですし、小説に出てくる人物を気に入ったというのでもいいです。読んだ人にとって深く心に残るような小説を書いていきたいですね」

 

ー本日はありがとうございました!

 

BUSHIZO上島の所感

コツコツ毎日努力をする。それ以外に成功の道はないと改めて確信しました。以前タレントの渡辺正行さんにインタビューさせていただいた時も、「コツコツ努力が成功の秘訣」ということを教えていただきました。(渡辺正行さんインタビューはこちら

いま目標を持っている方は、近道をしようとせず「毎日すこしでも前に進んでいればいつかゴールにたどり着く」という岩井さんの言葉を噛みしめてみてはいかがでしょうか。

今後の人生において有用な金言をいただいた素敵なインタビューになりました!

岩井さんの新作『夏の陰』は絶賛発売中です。

 

こちらから購入できますので、気になった方はぜひ読んでみてください!

岩井圭也著『夏の陰』

 

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One Response to 「剣道も執筆も基本が大事」 小説家・岩井圭也さんインタビュー

  1. yanmei より:

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