日々稽古に勤しんでいる剣士の皆さま、袴の手入れはどうなさっていますか?比較的洗うのが簡単な道着と違い、袴にはひだの問題がありますよね。今回は、そんな袴の洗い方と干し方についてまとめました。
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目次
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(1)袴の素材について
一口に剣道の袴といっても、その素材によって様々な特徴があり、洗い方・干し方が異なります。よく売られている袴の素材として、綿、テトロン、ジャージの3種類について、それぞれの特徴は次の通りです。
・綿
綿100%の生地で、ほとんどのものが藍染です。しっかりとした生地のため、重厚感があります。見た目が美しく、試合や審査の時によく着用されることが多いです。綿の生地にはきめの細かさを表す番手というものがあり、番手の少ないほうが薄い生地となり、番手の多い方がきめの細かい重厚感のあるものになります。剣道の綿袴では主に4000番~14000番のものが販売されています。
綿袴は、洗うと縮んだり色が落ちたりしますし、テトロンなどよりひだがとれやすいため、洗ったり干したりする際には、注意が必要です。また、稽古の後、そのままにしてしまうと、ひだがひろがってしまうことがあるので、しっかりとたたむ習慣をつけるとよいでしょう。
・テトロン
ポリエステルとレーヨンからできた繊維を化学染料で染めたものです。ちなみに、テトロンとは、帝人と東レが開発したポリエステル繊維の一種で、帝人の『テ』、東レの『ト』、ナイロンからもじった『ロン』で、『テトロン』と名付けたのだそうです。
綿と比べると、光沢があるものが多く、見た目が劣りますので、試合や審査での着用はあまりおすすめできないでしょう。軽量で速乾性があり、洗ってもひだがとれにくく、色落ちや縮みもほとんどないため、お手入れがしやすいので、普段の稽古に用いるのには大変便利です。
・ジャージ
ポリエステルの化学繊維を化学染料で染めたものです。テトロンと同様に、見た目の重厚感があまりないので、審査や試合での着用はおすすめできません。テトロンよりもさらに軽量で速乾性があり、洗濯機でも洗えるのでお手入れが楽です。綿やテトロンと比べると重厚感は劣ります。普及しているジャージ袴は、内側と外側の両方のひだを縫っているものが多く、型崩れがしにくく扱いやすい袴です。
(2)袴の洗い方・干し方
・テトロンやジャージの洗い方
色が落ちることや、ひだがとれることがほとんどありませんので、洗濯機で洗うことができます。
① きちんとたたみ、ネットに入れる。
いくらひだがとれにくいといっても、そのまま洗ってしまうと、徐々にひだがとれていってしまいます。ひだの通りにきちんとたたみ、ネットに入れて洗えば、ひだをきれいに保つことができます。腰板は、洗濯槽の中で折れてしまわないように、内側に折り込むことを忘れないようにしましょう。
おすすめのネットは、100均などで売っている、ワイシャツ用ネットです。
平べったい四角のネットで、中央にファスナーがあり、たたんだ洗濯物を滑り込ませるようにして入れます。軽く二つ折りにして四隅のひもで結ぶことで、コンパクトな四角いものになるため、洗濯機でぐるぐる回してもネットの中で全く崩れません。
② 単体で洗う。
テトロンやジャージ素材の袴がいくら色落ちしづらいとはいえ、買ったばかりのものなどは色落ちすることもあります。万が一色落ちして他のものに色移りすることがあってはいけないので、なるべくなら袴単体で洗う方がいいでしょう。洗剤は使用しても大丈夫です。水流は念のため、ソフト洗いにしておいた方が無難です。脱水は軽めにしましょう。
③ 洗い終わったら、すぐ干す。
濡れたまま放置すると、変なところに折れ目などがついてしまいます。洗い終わったら、すぐにネットから取り出して干すようにしましょう。
④ 陰干しする
テトロンやジャージ素材の袴でも、直射日光に当てると、日に焼けて色があせてしまいますので、形を整えて陰干しするようにしましょう。ひもは長いので、下につかないよう2つに折って洗濯ばさみで挟んでおくのもおすすめです。
袴の前と後ろを2本のハンガーに分けて掛けると通気性がよくなり乾きも早くなりますが、便利なものとして袴用ハンガーというものも売られています。
袴を筒状に干すことができるので乾きやすく、袴の形のまま干すことができます。
・綿の袴(新品や高級なもの)
新品や高級な藍染めの綿袴については、洗剤や洗濯機の使用をしないことをおすすめします。洗濯機を使用すると、洗濯槽の中で部分的に摩擦がかかり、ところどころ色落ちしたり繊維が傷んだりなどして、見栄えが悪くなってしまいます。また、洗剤を使っていけない理由は、洗剤に含まれる化学物質が藍を分解してしまい、変に色落ちしまうからです。
① たたんで、踏み洗い
テトロンなどと同様に、きちんとたたみます。
藍染めの袴はものすごく色落ちしますので、たらいや衣装ケースなどに、ぬるま湯を張って、その中で踏み洗いします。ぬるま湯だけでも十分きれいになりますが、汚れや臭いが気になる場合は、洗濯石けんや剣道着に使える天然素材の洗剤などを少量用いてもよいでしょう。漂白成分の入った洗剤は、厳禁です。
② 洗い終わったら、すぐ干す
濡れたまま放置すると、形が崩れたり変なしわなどがついたりしてしまい、乾いてからのお手入れがとても大変にあってしまいます。洗ったら、直ちに干すようにしましょう。脱水もかたくずれのもとですので、しないようにしまよう。
③ 陰干しする
藍染めに直射日光は厳禁です。必ず陰干しするようにしましょう。テトロンなどと同様に、袴用ハンガーなどを利用して広げた形で干すと、ひだをそのままに保つことができます。脱水をしないので、色の染まった水がぽたぽた垂れてくると思います。汚さないように、古新聞やブルーシート、洗濯時に用いたたらいなどを下に置くとよいでしょう。
・綿の袴(古いものや普段使いのもの)
綿の袴でも、何年も使って色落ちする可能性のないもの、普段の稽古でしか使わないので多少形が崩れてもかまわないというようなものは、テトロンやジャージと同様に洗濯機で洗うことができます。手順は、テトロンやジャージと同様です。ただ、藍が落ちてしまわないために、洗剤の使用は控えた方がよいでしょう。洗って干すときに、手で充分にしわを伸ばして干すと、乾いた後の手間を少なくすることができます。
(3)その後のお手入れ
・ひだがとれてしまったとき
気をつけて洗ったものの、ひだがとれてしまった時には、乾いてからアイロンがけや寝押しをして、ひだを復活させましょう。また、自分ではどうしようもないときには、クリーニング店に持って行くと、きれいにひだをつけて戻してくれます。
ですが、事前にひだがとれないように加工しておけば、そういった手間はだいぶ減らすことができます。例えば、内ひだの端から1~2mmのところにミシンがけをしておくと、ひだをキープすることができます。市販のものの中には、あらかじめ内ひだ縫製加工済みで販売されているものもありますので、そのような商品を求めるのもいいですよね。また、ジャージの袴の場合は、テトロンよりもひだがとれやすいので、内ひだだけでなく外ひだもミシンがけしてしまってもよいでしょう。実際Wステッチ加工の袴も市販されています。
・洗いすぎて色落ちしてしまったとき
洗う過程でとてつもなく色落ちしてしまったり、何回も洗ううちに藍染めが落ちてしまったりしたときなどは、染め直しもできますので、最寄りの防具屋さんで相談してみるとよいでしょう。
剣道は着装も大切
ひだがきちんとしたきれいな袴をはくと、稽古に対するモチベーションも上がりますよね。「剣道は着装と強さが比例する」とよく言われます。正しく美しい着装を心がけて、稽古や試合、審査に臨みましょう!
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