暑い夏や毎日稽古の学生時代、ジャージ剣道着にはお世話になった!という剣道家の方もたくさんいるのではないでしょうか?
機能性に優れたジャージ剣道着ですが、大人になると着用される方も減っていきます。
また、試合や審査ではNGだと考えられている方も多いでしょう。
剣道家にとって、ジャージ剣道着はどのような捉えられ方をしているのでしょうか?
目次
1.ジャージ剣道着のメリット
2.ジャージ剣道着のデメリット
3.ジャージ剣道着とスポーツ化
4.剣道着の本来の意味を考える
まとめ
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ジャージ剣道着のメリット
機能性がよいと言われるジャージ剣道着ですが、どういったところが優れているのでしょうか?
4つのポイントに沿って紹介します。
1.涼しい
ジャージ生地は通気性が良いため、汗をかいても綿のように重くなりません。どれだけ汗をかいてもサラサラしていますので、夏場の稽古に最適です。
2.速乾性
夏場外に干したり乾燥室を使用すれば、2~3時間でも乾いてしまいます。
合宿のように1日に複数回稽古のある場合や、部活で毎日使用する場合などに大変役立ちます。
3.洗濯機で洗っても大丈夫
綿の剣道着は手洗いが推奨されていますし、藍染されているものは何度も洗うと色落ちを早めてしまいます。しかし、ジャージ剣道着でしたらその心配はいりません。気軽に洗濯機で洗うことができますし、色落ちの心配もいりません。
4.軽い
とにかく軽いので動きやすいです。ごわつきもありませんので、体をスムーズに動かすことができます。
ジャージ剣道着のデメリット
メリットの多いジャージ剣道着ですが、剣道の観点から見るとデメリットもあります。
1.試合・審査向けではない
試合・審査において、ジャージ剣道着の着用が禁止されているわけではありませんが、あまり良い印象は与えません。実際、試合・審査会場で着用している方はほとんど見かけません。
技だけではなく、品位・風格も重んじられる剣道において、機能性ばかり重視したジャージ剣道着はまだ受け入れられる土台ができ上がっていないとも言えます。
通常の綿の剣道着に比べ、ジャージ剣道着はどうしても重厚感の面においては見劣りしてしまいます。
2.痛い
剣道着は本来体を守るためのものですので、ある程度厚みがあった方が痛くないのです。しかし、速乾性や軽さを追求すると、どうしても生地は薄くなってしまいます。
ジャージ剣道着でしたら、竹刀が当たった時の痛さはある程度我慢せざるを得ないと言えるでしょう。
3.冬場は寒い
夏場涼しいのですから、当然冬場は寒いです。寒稽古などには不向きです。
4.子どもや初心者が着てもよいのか
剣道を始めたばかりの子どもや初心者に、初めからジャージ剣道着を着せて良いのか悩むところもありますが、使用しても問題ないでしょう。
ジャージ剣道着だけに慣れてしまうのは問題ですが、夏場の暑さや汗による剣道着の重さで「剣道自体が嫌!」となってしまうよりは、快適なものは取り入れていくべきです。ジャージ剣道着はたたみやすいので、その点からも子どもや初心者向けと言えます。
通常の綿の剣道着と併用して、上手に使い分けていきましょう。
ジャージ剣道着とスポーツ化
昔ながらの綿の剣道着とは異なるメリットを持ったジャージ剣道着ですが、
「機能性ばかりを追い求めていると、いつか剣道もスポーツ化してしまうのでは?」
と懸念される方もいるのではないでしょうか。
ここでは同じ武道の枠組みとして代表される、柔道を比較対象として考えていきましょう。
すでに柔道衣においてはスポーツメーカーのMIZUNOやadidasが参入し、高いシェアを誇っています。オリンピック選手やブラジル代表選手も、MIZUNO製の柔道着を公式戦で着用しています。ちなみに、着用トップモデルは綿100%ではなく、ポリエステルを含んだ機能面も優れたものです。
試合では重厚感のある剣道着を着るような剣道の世界からは、考えられにくい傾向かもしれませんね。
しかし、柔道衣もスポーツ化の傾向が強まるまでの経緯は容易なものではありませんでした。
今ではオリンピックでも一般的となったカラー柔道衣について一例を挙げましょう。
初めてカラー柔道衣が着用されたのは、1988年のことです。これは、東京オリンピック金メダリストのオランダ選手が、ヨーロッパ柔道選手権で着用したことに始まります。
しかし、そこから国際柔道連盟で採用が決定され、オリンピックに導入されるまでには、実に11年にも及ぶ議論が行われました。日本を含め数カ国は導入に反対しましたが、誤審が減る、テレビ映えがよいなど大多数が賛成派に回り、結果はご存知の通りです。
「柔道の心は白」という精神面を主張する声よりも、実用性を重視する声の方が強かったということが如実に表れた例だと言えるでしょう。
ジャージ剣道着から少し飛躍しましたが、機能性を重視するということはスポーツ化につながる可能性を秘めているということでもあります。
ただ、日本における剣道着は現在のところほとんどスポーツメーカーが参入してきていませんし、伝統が重んじられている傾向にあります。
剣道着の本来の意味を考える
「剣道を知る辞典 日本武道学会剣道専門分科会〔編〕」の中で、筑波大学の有田祐二先生は次のように述べています。
「剣道の起源から生命を賭した合戦に臨む武士のごとく、剣道着の襟と首が密着し、(中略)着崩れのない確実な着装と清潔感のある端正な身構えを整えることが文化の継承、安全、心構えの充実につながると思われる」
酷暑の中での稽古や、毎日部活のある学生にとって、ジャージ剣道着はとても助かるものです。時代や環境の流れもありますので、新しくできたよいものを積極的に取り入れるということは、決して悪いことではありません。
しかし、スピード・機能性だけを重視し勝ち負けのみにこだわる剣道を追い求めていては、長く剣道を続けていくことは難しいです。剣道は運動としての側面もあるかもしれませんが、本来は武士の精神を学ぶものです。
剣道着、袴は武士の正装であるということを忘れない。私たちが剣道を学んでいく上で理解しなくてはならないことです。
まとめ
剣道という言葉が使われ始めたのは、大正時代にもさかのぼります。その頃から比べれば、剣道着の機能性は格段に素晴らしくなったことでしょう。
ジャージ剣道着のように快適なものは当然流行ります。ただし、それに頼り過ぎてしまうのではなく、武士の時代から続くものがなぜ現在も残されているのかを考えなくてはなりません。
新しいもののよさを取り入れつつも武士の精神を感じることで、より一層剣道のおもしろさに触れることができるのではないでしょうか。
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