剣道防具・胴の選び方を徹底解説

2017年7月25日 • お役立ち記事, 剣道具の選び方 • Views: 43550

 防具の中でも存在感を放つ胴。様々な胴台のデザインがありそちらに目が行きがちですが、胴の持つ役割、選び方を正しく理解していますか?体に合った胴を着ければ、パフォーマンスが向上することもあります。

今回の記事では、胴の基礎知識と体に合った最適な胴の選び方について紹介します。

目次

胴とは

仕上げ加工

選ぶポイント

  • 胴胸と胴台のバランス
  • 胴胸の巾
  • 着用感

女性の胴

まとめ
 
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胴とは

胴は胸から腹部、腋下を保護するための防具です。各部位によって、それぞれ役割が異なります。

・胴胸

 

胸を守る部分です。芯材には毛布・フェルト・綿などが使用され、それらは革で覆われます。

胴胸には雲型や蜀紅(しょっこう)と呼ばれる、伝統的な装飾文様が施されます。

雲型はただの装飾ではなく、剣先が胸に付いた際、ずれて首や腋へ流れるのを瞬間的に減衰する役割があります。雲型飾り、三階松飾りが伝統的で、これらを組み合わせた混合タイプもあります。雲型のない総刺も多く見受けられますが、当初総刺は安価な防具を提供するために作られたものでした。また、以前は上段に対する胸突きが1本として認められていたため、上段の選手が好んで使用していました。

 

蜀紅もただの装飾ではなく、芯材と革を固定する役割があります。剣先が胸に付いた際には剣先のずれを防ぐ役割も兼ね備えています。突き垂れの蜀紅と同様のものを選ぶことが多く、カラーバリエーションや図案も豊富です。

 

・小胸

脇から竹刀が入り込まないような役割を担っています。足、持ち出し付きとも呼ばれます。飾りが施され1本足から3本足まであり、足が増えるほど製作に手間がかかり高価になります。

ただし、小胸の部分が高くなると脇が窮屈になりますので、体の小さな方には本数の多いものは向きません。このため、幼年用の胴にはないことも多いです。

 

・胴台

打撃を受け止める腹、腋下部分を保護します。防具の中でも最も主張が出やすい部分で、家紋を入れる方もいます。主に竹胴・ヤマト胴・ファイバー胴の3種類があります。

①竹胴

牛革に竹を貼り、漆で仕上げます。衝撃緩衝という点では、3種類の中で最も優れています。竹は43本、50本、60本だての3種類が主流です。竹が増えるほど高価になりますが、強度が増すといったことではなく、この3種類の強度はどれも同じくらいです。表面に革を張ったり漆を塗ったりする加工を施さない、竹がむき出しになった状態の竹胴もあります。

 

②ヤマト胴

ナイロン樹脂で形成されています。50本型、60本型等表記のあるものは、裏が竹胴のような形状をしているため強度が強いです。

 

③ファイバー胴

高純度のパルプ繊維原紙を複数枚重ねて張り合わせ、圧縮して樹脂で固めた硬質繊維ボードを胴台に成型しています。ヤマト胴に比べ軽く感じます。

 

・ヘリ革

胴胸と胴台を組み合わせる際に、胴台の横、及び下部を閉じこむための革です。縁の部分の革を折り返して処理する返しべりと、切ったままの状態にしておく切りっぱなしという2種類の手法があります。返しべりの方が仕上がりが美しく、竹刀が当たった際も止まりやすくなります。

 

仕上げ加工

胴台を仕上げる際に主に用いられるのが漆です。漆塗りは美しく仕上げるためでもありますが、革を保護する役目も果たしています。

国内で使用される漆の99%が輸入品で、国産の漆はわずか1%です。国産漆は輸入品に比べ塗膜が堅牢で、つやも落ちにくい性質を持っています。

塗り方によっても仕上がり方は異なります。例えば需要の多い黒い胴は、以下のような塗り方で仕上げられます。

 

・呂塗り

最も定番な塗り方です。塗りの仕上げに磨くことで、つやのある状態に仕上がります。ピカピカと顔が映るのが特徴です。

 

・黒塗り

塗り上げた後いったん磨きはかけますが、後につや消しを施します。打突時の傷が目立ちにくいというメリットがあります。

 

現在は塗り方も多種多様で、玉虫塗や青石目塗など、多くの特殊塗りが存在しています。他にも革を貼った後、着色を行わない生地胴や、竹の上からエイの皮を貼って仕上げる鮫胴などがあります。

さらに、仕上がり後サンドブラスト加工を施してくれる防具屋さんまであります。サンドブラスト加工とは、コンプレッサーで圧縮空気に粒子を混ぜて吹きつけ、表面を加工する方法です。桜や龍、虎など凝ったデザインも可能で、胴台を美しく装飾することができます。オリジナリティを出したい方におすすめです。

選ぶポイント

画像の出所:株式会社東京正武堂

 

胴は身長とウエストを基準とし、サイズが決められます。しかし、同じ身長、ウエストであったとしても体格差はありますし、男女では体つきの違いもあります。

ここでは、サイズ以外にも気をつけておきたい3つのポイントについて紹介します。

 

1.胴胸と胴台のバランス

胴胸と胴台のバランスがとれているものは、胴を横から見たときに胴台の描く曲線が胴胸方向に向かって緩やかにカーブしています。また、バランスが取れている胴は持ち上げた際に底辺が傾きますが、バランスの悪い胴は底辺が水平のままです。バランスの悪い胴は装着時に胴の重さを感じたり、胴がぶれて安定しなかったりします。

突き垂れと胴胸のバランスが窮屈だと感じている方は、胴台の高さを低くすることですっきりとします。

 

2.胴胸の幅

胴胸の幅が広すぎると、腕を伸ばしたときに胴胸に腕がつかえてしまいます。腕がつかえることで、基本動作である脇をしめるという行為に支障をきたします。装着時には腕を振り下ろした際につかえないか確認しましょう。

 

3.着用感

装着時に両側にこぶしが半分入るくらいの隙間ができると良いとされてます。しかし、身長とウエストを考慮して選んだサイズでも、実際に装着すると合っていない場合もあります。次に挙げるようなことがないか確認してみましょう。

大きすぎる場合は、胴胸の幅で述べたように腕が伸ばせません。また、座礼の際に胴が首につかえてしまいます。

逆に、小さすぎる場合は突き垂れと胴胸の間や胸のサイド、胴と垂れの間に隙間が生じるため危険です。防具本来の安全性が保たれません。

胴台の幅は広がったり縮んだりします。体型の変化や乾湿の差によって胴台の幅が合わないと感じ始めたら、自分で調整することも可能です。調整方法は簡単です。胴の内側に竹を入れ、調整したい大きさのところをベルトなどで固定します。この状態で2~3日ほど置いておくと調整ができます。

 

 

女性の胴

防具は男女の区別がないため、女性はどうしても大きい胴を使用していることが多いです。 同じ身長の男女でも、同じサイズの胴を合わせてみると、女性の方が大きく見えることがあります。

突き垂れが胴胸にかぶってしまう、蹲踞した時胴胸がつかえる。女性でこれらの状態を普通だと思われている方はいませんか?この状態を続けていると、動きにくいのはもちろん、動きにくさを解消しようと顎をあげるという悪い癖までついてしまいます。胴胸、胴台を数センチ小さくする、飾りの足を減らす、これだけでも全体がすっきりし、動きやすくなります。

胴の大きさ1つで求めていた剣道に近づけることもあります。サイズの気になる方は一度防具屋さんに相談してみると良いでしょう。

 

 まとめ

胴は胴体を保護する役割を持つ重要な防具です。デザインも気になりますが、本来の役割を忘れず、記事の中で紹介したポイントを参考に、体に合った最適な胴を探してみてください。

 

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