BUSHIZO TV 「剣洗」秘伝の技 #04・#05 剣道甲手(小手)の手入れ法解説!

BUSHIZO TV 「剣洗」秘伝の技 #04・#05 剣道甲手(小手)の手入れ法解説!

BUSHIZO TV 「剣洗」秘伝の技 #04・#05 剣道甲手(小手)の手入れ法解説!

著者:BUSHIZO渋谷ショールーム店長 工藤

公開日:2026年1月30日

更新日:2026年1月30日

剣道小手の手入れ方法


解説動画はこちら→ #04 剣道小手の手入れ法解説!


剣道防具専門クリーニング 武蔵坊「剣洗」の露木幹也社長にお話をお伺いするシリーズの第4回目です。


今回は、剣道具の中で最も汚れているのではないかと思われる、小手の手入れの仕方についてお伺いしました。

一番臭い小手の攻略法

剣洗4その1

──全部の防具の中で一番洗うニーズの多いのはおそらく小手かと思いますが…


露木「そうですね。完全に小手です」


──小手を自分で洗う時に、一番注意するべきことはなんでしょうか?


露木「一番は手の内の革ってガサガサやかちかちになってしまうことですね。


うちの洗い方だと油分を入れてあげているので、使ってあげているうちにすごく柔らかくなっていくのですけど。


小手は革をなめして作るのですが、革をなめすってことは劣化に向かっているんですね。


もともとはすごく油があるものを、水でなめしてなめしてできあがっていくのでどんどん劣化していく感じなんです。


これをもみほぐしてあげたり、木型を入れて手の内側も外側も叩いてあげたりすると洗う前よりすごく柔らかく使いやすくなります。」

小手の手の内は革をなめして作られています。「なめす」という工程は、動物の皮から油分を抜いていく作業であるため、革は本質的に劣化に向かっています。そのため、洗浄後には油分を補給してあげることが、革を柔らかく保つ秘訣となります。プロのクリーニングでは、洗浄と同時に油分を添加することで、使うほどに柔らかくなる理想的な状態を実現しています。

剣洗4その3

露木「もちろん、手でほぐしてあげてもいいですし。


洗った後は少し締まる感じがしてくるんです。特に油分が抜けてしまうと、固くなりやすいですね。


なので、僕たちの場合は、後で油分を添加してあげます」


──鹿革の手の内の場合ということですか?


露木「そうですね。でも、クラリーノでも同じで油分を入れます。


そうすると、2、3回使ったときに、すごくいい感じになってきます」

剣洗4その4

──一般の方も、洗った後は油分を足してあげた方がいいのでしょうか?


露木「足してあげた方がいいんですけど、多分市販されているものはないんじゃないかなと思います」


──小手に合うようなものがですか?


露木「そうですね。強いて言えば、髪を洗う時の、さらっとタイプじゃない方のコンディショナーなら、成分としては近いかな。


コンディショナーとかはシリコンなんですよね。代替えにはなるかな。僕たちが使うのは動物性の皮脂が精製されたものなのですが、それを水で溶いて、添加していく。


そうすると革がなめらかになるというか。ある程度保湿しているんですよね、革というのはね。それを保つという。


それが全部抜けていってしまうと固くなるって感じなんですよね、革は」

一般の方が使える油分補給の代用品

プロは動物性皮脂を使用していますが、一般の方は以下のもので代用できます:

  • しっとりタイプのヘアコンディショナー(シリコン成分が革に良い)
  • ミンクオイル
  • 馬油
  • 革製品専用オイル

鹿革でもクラリーノでも油分補給は有効です。ただし、塗りすぎは逆効果なので、薄く均一に塗ることがポイントです。

剣洗4その5

──それは化学製のものでも?


露木「一緒ですね。クラリーノ製でも。油をちょっと添加してあげると、しっとりして柔らかくなるみたいな感じ。


布もそうなんですけど、100%乾いているわけではなくて、生地自体が10数%の湿度を持っているので、そういう状況と同じように極力してあげる感じですかね」

意外に簡単!小手クリーニング

剣洗4その6

露木「石けん分を倍くらいに薄めて、まず手の内の表と裏にシュシュシュッとつけてあげますよね」


──スプレーみたいなものでですか?


露木「霧吹きでいいと思いますね。


霧吹きみたいなものでシュッシュッシュッと汚れているところにつけてあげて、小手だったら洗面器とかバケツでもいいんですけど、そのままジャボンとつけます」

剣洗4その7

──霧吹きしたあと、すぐつけてしまっていいんですか?


露木「そうですね、霧吹きして1分くらいして、石けん水が浸透してきたら、バケツとかにつけます。


その後は、たぶん僕らが洗う時は、もう5分から10分以内しかつけないです」


──あ、じゃあ、1時間とか2時間とかつけないんですね?


露木「つけないですね。


小手を水につけると、中に入っている空気がポコポコシュワシュワ出てくるんですね。それが収まったら、水が全部に行き渡ってるな、と」

洗浄時間の目安

意外かもしれませんが、小手の洗浄は短時間で十分です。長時間つけ置きすると、革や藍にダメージを与えてしまいます。

  • 霧吹きで石けん水をつけてから:1分程度放置
  • バケツにつける時間:5〜10分(気泡が出なくなるまで)

汗や皮脂は油汚れではなく、水溶性の汚れなので、短時間で十分に落ちます。

剣洗4その8

──浸透してるということですね。


露木「そう。浸透するまでつけるという形ですね。


そのあとは、キッチン用のスポンジのザラザラしていない方に、石けんをつけて、お皿を洗うときと同じようによく泡立ててあげて、小手筒の中に入れて洗ってあげます」

剣洗4その9

──優しく?


露木「そう。優しく洗ってあげる。もうそれだけで結構きれいになります。お醤油とかソースがついているわけではなくて、汗や皮脂、塩分だけなのでね。


皮脂は油分なので、石けんで浮かせてあげる。あと、塩分は水でジャンジャン流すだけでどんどんとれていくので。


なので、スポンジを切ったもので小手の奥まで洗ってあげたり、手の内の内側は、歯ブラシみたいなブラシで軽くこすってあげたりします。それでもうかなりきれいになるはずです。


まあ、やり過ぎてもいけないので。手の内の内側を洗う時に、石けん分が足りないときは、中性の石けん水を追加で霧吹きして、シャカシャカとブラシをかけてあげる。


外側を洗う時は、スポンジを泡立てて軽くなでるくらいで、もう十分汚れが取れます。


スポンジのガサガサした面でガサガサ洗ってしまうと、そこだけ白化といって色が落ちて、毛羽立ってしまうんですよね、摩擦で。


毛羽立つから、そこだけ白くなってしまうんです。もちろん、色も抜けてしまいますし。なので、優しく洗います」

洗う時の重要ポイント

小手洗いのキーワードは「優しく」です。

  • スポンジは柔らかい面を使用
  • 硬いスポンジでこすると「白化」が起きる(毛羽立って色が抜ける)
  • 汗や皮脂は水溶性の汚れなので、優しく洗うだけで十分落ちる
  • 内側は歯ブラシで軽くこする程度でOK
剣洗4その10

──藍がおちてしまうんですね?


露木「そうですね。藍はもちろん水につけるだけで、ちょっとは出るのですが、色があせるほど普通は出ないので、短時間で洗います。


皮脂や汚れが落ちてきたら、汗の部分は水道でもシャワーでもいいので、ジャンジャン流す。汗の部分は、水量が多ければ多いほどどんどん流れていくので、ジャンジャン流す。


そこを怠ってしまうと、汗や皮脂の分がちょっとでも残って、それが臭いを発してしまうので、その分だけジャンジャン流してあげる。


それだけでもう結構きれいになりますね。


水量はもうすごく多くどんどん」


──洗い残しがないように?


露木「そうですね。すすぎにジャンジャン水で流してあげるだけで、臭いの部分は取れていくかな」


──で、その後は…?


露木「さっき言ったリンス系のもので、もう一回バケツや洗面器みたいなものにつけて、2、3分。


でも、今度はもう水が入っているのですぐ浸透しますので。


それで、水から上げた後は、脱水というか脱液だけはしたほうがいいかな、と」

剣洗4その11

──リンスみたいなものをつけた後は水で流しますか?


露木「そうですね、でも、すごく軽く流してあげるだけで。


脱水をご家庭でする場合は、小手の形が崩れないように、中にタオルやペットボトルを入れてあげて、全部をタオルでくるんであげます」

剣洗4その12

露木「それから洗濯機に入れますが、ドラム式はあんまりよくないですね。縦型のほうがいいです。


全自動の洗濯機で脱水コースだけで、1分以内で十分です。


長い時間かけてしまうと、無用に繊維をつぶしてしまうので、1分くらいで水がしたたらないくらいになれば十分です」


──すごく勉強になります。


露木「あとは、自然乾燥でも結構早く乾いてしまいます。1日あれば乾いてしまうんじゃないかな」


──干す場所は?


露木「日陰で、できれば扇風機や送風機をあてます。風量があればどんどん乾いていくので。乾いた風をどれだけ当てたかで乾燥は決まるので、どんどん風をあててあげます」


──天日干しがダメな理由はなんですか?


露木「やっぱり紫外線でしょうね、おそらく」

剣洗4その13

──劣化の原因に?


露木「劣化もそうですけど、色も紫外線によってやけてきますし。


天日干しは何十時間もやらなければ、パッとくらいならいいんでしょうけど、日陰のほうがいいかなって。日陰のほうが無難ですかね」


──自分でもできそうな気がしてきました。


露木「できます、できます。


あと、小手の場合は…脱水やって、後は…そうそう」

脱水と乾燥のポイント

  • 脱水方法:小手の中にタオルやペットボトルを詰め、全体をタオルで包んで縦型洗濯機で1分以内
  • 乾燥場所:日陰で風通しの良い場所
  • 乾燥時間:脱水した場合は約1日、脱水しない場合は2〜3日
  • 扇風機使用:推奨(乾燥が早まる)
  • 天日干し:紫外線で色焼けや劣化の原因になるため避ける

小手クリーニングの秘訣は『優しく』

今回は、小手の手入れ方法を解説いただきました。


汚れていると思って、ついついごしごし強い力で擦ったり、長い時間洗浄液につけておかなければならないと思いがちですが、


意外にも短時間で優しく洗うことが秘訣でした。


洗い方・乾かし方以外に、さらにどんな重要なことがあるのでしょうか?


次回も、小手の手入れ方法の続きをお送りします。


お楽しみに!!

剣洗4その14

乾かすときの注意点


解説動画はこちら→#05 剣道小手の手入れ法解説!(続編)


剣道防具専門クリーニング 武蔵坊「剣洗」の露木幹也社長にお話をお伺いするシリーズの第5回目です。


前回、剣道小手の手入れの仕方についてお伺いしましたが、そのつづきとなります。


露木「あとね、そうそう。熱で乾燥させると、これはね、革って濡れているところから急激にぎゅーっとしぼんでくるんですよ。


そうすると、熱でしぼんでしまったものはもう戻らない。


(お客さんが持ってきた小手の)手の内が、もう子どものものみたいになっちゃってるから、「どうしました?」って聞くと、「濡れてたからドライヤーでずっと乾かした」って。


熱い温度の風を当て過ぎると、キュッとなってしまうんです。縮めさせたい時はいいかもしれないけど。


鹿革ってスポンジ状になっているのですが、そのスポンジ状のものがキュッとなってしまうと元に戻らないです。


いくら油というか加脂剤を入れていっても戻らない。熱い風は絶対NGです。布はまあ大丈夫なんですけど、革に関してはもう温風は絶対NGです」

⚠️ 熱乾燥は絶対NG!

小手の手入れで最も重要な注意点がこれです。ドライヤーの温風やストーブの熱は、革を不可逆的に収縮させてしまいます

なぜ元に戻らないのか?
鹿革はスポンジ状の繊維構造を持っています。この構造が熱によって急激に収縮すると、繊維が固まってしまい、二度と元の状態には戻りません。どれだけ油分を補給しても復元不可能です。

実際にあった事例:
ドライヤーで乾かした小手の手の内が子供用サイズまで縮んでしまい、使用不能になったケースがあります。

──扇風機干しくらいがいいですかね?


露木「そうですね、1回縮まっちゃうと、もう広がらないので、普通の風で。大気温と同じ風だったら大丈夫」


──4、5回使ったら、また臭いが戻ってきちゃったりすることがありますが、そういうときはもう一回自分で洗った方がいいですか?


露木「洗ってもいいですけど…保管方法はどうでしたか?」


──保管方法ですか…ああ…防具袋に入れっぱなしだったり…


露木「臭いが出る最大の原因は、汗自体は臭くないのに、それが水分のまま放置されると、臭いが発生してくるところにあります。」

臭いの発生メカニズム

臭いの原因は汗そのものではなく、汗を含んだまま放置することで繁殖する雑菌です。

臭いが発生する3段階:

  1. 汗の付着:稽古直後の汗は基本的に無臭
  2. 雑菌の繁殖:湿気と栄養(汗の成分)を餌に雑菌が繁殖
  3. 悪臭の定着:防具袋に入れたまま密閉すると、臭いが繊維の奥まで染み込む

予防方法:

  • 稽古後すぐに手の内を拭く
  • 防具袋から出して風通しの良い場所で陰干し
  • 完全に乾燥させてから保管

手刺し防具が臭わない理由

露木「昔の手刺しでできた古い防具って、ここにもあるんですが、真ん中にあるものみたいな、ああいう防具って、臭いしないんです。剣道特有の汗の臭いってあんまりしなくて」


露木「やっぱり中に入っている綿がぎゅーっとなっているので、その分、汗を吸っているんでしょうね。


で、いっぱいになる前にまたはき出しているみたいな。


なので、昔のというか手刺しの厚い防具って、あんまり臭いがしなくて。同じ臭いがするんですよ、藍と革と綿の臭いがね。


強烈に結構汚れてても、臭いはあんまりしないみたいな」


──それって、芯材の量が今とは違うということですか?


露木「そう、違うんですよね。あとは、真綿の量っていうか。」

手刺し防具と現代防具の違い

昔の手刺し防具が臭いにくいのは、厚い芯材と豊富な真綿が汗を効率的に吸収・放出しているためです。

項目 手刺し防具(伝統的) ミシン刺防具(現代)
芯材 厚く、密度が高い 薄く、軽量化
真綿の量 たっぷり使用 少なめ
臭いの特徴 藍・革・綿の自然な香り 汗が蓄積すると悪臭

現代のミシン刺防具は軽量化されている分、よりこまめな手入れが必要になります。

小手を長持ちさせるポイント

今回のインタビューで、小手を長持ちさせるための重要なポイントが明らかになりました。


まず、革は本質的に劣化に向かっているため、洗浄後には必ず油分を補給すること。一般の方は、しっとりタイプのヘアコンディショナーやミンクオイルなどで代用できます。


次に、絶対に熱で乾燥させないこと。ドライヤーやストーブの熱は、革を収縮させてしまい、一度縮むと二度と元に戻りません。常温の風で自然乾燥させることが基本です。


そして、臭いの原因は汗の放置による雑菌繁殖なので、防具袋に入れっぱなしにせず、しっかりと乾燥させることが重要です。


次回は、引き続き面の手入れ法について解説していただこうと思っています。どうぞお楽しみに!


防具クリーニングならBUSHIZO

自宅での手入れも大切ですが、年に1〜2回はプロのクリーニングに出すことで、防具を最良の状態に保つことができます。


BUSHIZOでは、剣道防具専門クリーニング「剣洗」と提携し、高品質なクリーニングサービスを提供しています。
油分を補給しながら洗浄するため、使うほどに柔らかくなる理想的な仕上がりを実現します。


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電話: 050-3136-0371
メール: info@bushizo.com
※営業時間や詳細については、お問い合わせください。

💡 このシリーズについて:

本記事は、BUSHIZO TVで配信している剣道防具専門クリーニング「剣洗」露木社長へのインタビュー動画を文字起こししたものです。プロの技術を分かりやすくお伝えするため、動画と合わせてご覧いただくことをおすすめします。


動画はこちら:
 #04 剣道小手の手入れ法解説!
#05 剣道小手の手入れ法解説!(続編)

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