タレントとしてご活躍の渡辺正行さん。中学生から始めた剣道は五段の腕前です。
「コツコツ努力」が成功の秘訣という渡辺氏が、剣道を通して学んだことはなんだったのか。
ユニークなお仕事のお話も交えて、インタビューさせていただきました。(2017年8月)
プロフィール
大学在学中に劇団テアトル・エコーに入所。ラサール石井、小宮孝泰と出会い、コントグループ「コント赤信号」を結成。当時大人気番組だった『オレたちひょうきん族』にレギュラー出演、人気を不動のものとする。『関口宏の東京フレンドパークII』等バラエティー番組を中心に活躍。「リーダー」の愛称で親しまれている。自らが主宰するお笑いライブ『ラ・ママ新人コント大会』は“若手の登龍門”とも言われ、ウッチャンナンチャン、バナナマン、くりぃむしちゅーほか現在第一線で活躍しているお笑いタレントを多数輩出している。2003年から、自らがプロデュースする舞台を上演するなど、マルチな才能を発揮している。中学生から始めた剣道は五段の腕前。
お笑いの道にすすんだきっかけ
ー高校までは剣道を続けていらっしゃいました。大学で剣道を続けようとは考えられませんでしたか?
渡辺「高校の時に、関東の強豪剣道部をみて『こんな強い人たちがいるなら勝てない』と思いましたね。関東でこれだけ強いのだから、全国にもっと猛者がいるはずだと。大学で続けようとは考えられなかったです」
ーお笑いの道にすすまれたきっかけを教えてください。
渡辺「明治大学の落語研究会がきっかけです。三宅裕司さん、立川志の輔さん、一緒にトリオを組んだ小宮くんと知り合い、触発されました。芸能界という進路は考えていなかったのですが、俺も目指したいなと思いました」
ータレントとしてのご活躍は周知のとおりです。「渋谷ラ・ママ」で若手のためのコント大会を30年以上開催されていますよね。
渡辺「ウッチャンナンチャン、爆笑問題、ネプチューン、バナナマン、オードリー…。いろんな芸人が育っていきました。場を提供するだけではなくて、若手にアドバイスしたりするんですよ」
ー利他の精神ですね。
渡辺「そうですね。自分の芸を磨くことにもつながっていると思います」
剣道を始めたきっかけ
ー剣道を始めたきっかけを教えてください。
渡辺「中学から剣道を始めました。背が大きいという理由で、剣道部の先輩に誘われたのです。漫画『巨人の星』の影響で最初は野球部に入りましたが、入部して1週間うさぎ跳びをやらされたんですね。これはダメだということで、1週間で辞めました」
ー最初は野球部に入ったのですね。
渡辺「剣道部に入りなおしたのですが、結局うさぎ跳びでした(笑)。また辞めてしまおうかと思いましたが、子どもごころに『すぐ挫折する人間はよくない』と思い直して、剣道を続けました」
ー続いたということは、剣道に楽しさを見いだせたのでしょうか?
渡辺「どうだろうな(笑)。中学校の顧問は、強豪国士舘大学出身の方でした。厳しい稽古でしたが、強くなって試合で勝てると面白くなってきましたね」
ー高校でも剣道部に入られたのですよね。
渡辺「中学のときに剣道部だったから、高校に入ってからも剣道部でいいっかという感じで」
ー高校でのエピソードを教えてください。
渡辺「僕の学生時代のテーマは、いかにして”合法的に剣道をサボる”かということでした。中学生のときはトイレにいってサボるというレベルの低いものでしたが、高校生のときは実行委員に立候補して合法的にサボっていました。サボる技術があがったんですね(笑)。これは冗談として、剣道の稽古は厳しかった。稽古の甲斐あってか僕の高校では初の関東出場を成し遂げました」
ーそれはすごいですね!
渡辺「高校の先生も国士舘大学出身。中学の顧問以上に厳しい方でした。厳しく指導していただいたことに感謝しています」
剣道再開のきっかけ
ー剣道を再開されたきっかけを教えてください。
渡辺「『炎の体育会TV』という番組がきっかけです。四段を取得するという企画です。四段審査の受審時、びっくりしたんですね。受審する人が多くて、剣道ってこんなにポピュラーなんだと気付きました」
ー番組企画終了後、なぜ剣道の稽古を継続していこうと思われたのでしょうか?
渡辺「荒川区の試合に出場したのですが、そこからさらに剣道にはまりましたね。勝負の楽しさに目覚めた。四分間集中しなければいけないので、稽古とは疲れ方が違いますよね」
ー全然違いますね。
渡辺「荒川区の大会で優勝したいという気持ちが芽生えてきて、稽古に張り合いがでた。テレビの仕事はほとんど意識せず、稽古に身を入れるようになっていきました」
ー結果はいかがでしたか?
渡辺「最終的には、荒川区の大会で優勝することができました。決勝の相手は国際武道大学出身の強い方でしたが、どうやって勝ったのかほとんど覚えていません。無心で臨むことができた試合でした」
ーブランクがおありなのに、結果を残せるのはすごいことですね!
努力することの価値を教えてくれたのは、剣道
ーご自身の人格形成において、剣道は影響していると思われますか?
渡辺「努力することの価値を認識できました。高校でも努力したから関東大会に出場できました。お笑いの世界に入ってからも努力しました。私はこうみえても努力家なんですよ(笑)。きちんと努力すれば、結果がでるということを剣道で学ぶことができたので、お笑いの努力も惜しみませんでした」
ー先日、落語も拝聴させていただきましたが、圧感でした。
渡辺「剣道と一緒で稽古が大事です。準備の稽古も大事ですが、お客さんの前にでてネタを披露してみる。そうすると、いろんなことが分かります。ウケないと思っていたくだりが意外とウケたり、ウケるとおもっていたことが意外とウケなかったりします」
ー剣道も試合で学ぶことが多いです。
渡辺「生の反応というのは貴重ですよね」
ー漫才の上達には、当然ながら努力が大事なのですね。
渡辺「漫才ですと間合い、言葉のタイミング、自然さが大事。漫才はコンビ芸なので、コンビネーションも大事です。基本的な話芸も重要です。一朝一夕では身につきません」
ー「剣道の間」と「お笑いの間」、通じる部分はあるのでしょうか?
渡辺「ごめん、それはないかな(笑)。そういえば小川直也さんは格闘技・柔道をやっていますが、間合いをつかむセンスがすごい。彼は剣道初段ですが、他の武道や格闘技で培ったセンスが活きていて面白い。体育会TVの試合でも勝利していました」
ーなかったですか(笑)。”柔道・格闘技の間”と”剣道の間”、通じる部分があるのでしょうね。
小さな目標を設定する
ー渡辺さんは、目標を設定する能力に長けていると感じます。
渡辺「小さな目標を立てて、コツコツと継続して頑張ることはたいせつですね」
ー最近の目標はなんだったのですか?
渡辺「荒川区大会での優勝、五段の取得ですね。おかげさまで、どちらも達成できました」
ー素晴らしいですね、おめでとうございます。
渡辺「私は18~55歳まで剣道をやめていましたので、ずっと剣道を続けていた方々に追いつくのは難しい。どの道場に稽古にいっても、僕は一番下だと思って稽古をしています。自分なりの目標に向かって、コツコツと努力していくことを意識することが大事」
ー次の目標はなんですか?
渡辺「次は六段の取得ですね。次回の受審まで5年くらいあるので、しっかり準備していきたいです。5年というと長いです。試合で結果を残すなどの小さなチャレンジをしていきたいと思います」
謙虚ながらチャレンジングな姿勢を失わない渡辺さん。お仕事での成功は、剣道を通じて努力の価値を理解されたことにあるのだと感じました。本日はありがとうございました。
取材:上島郷・工藤優介
文章:上島郷
写真:曽川拓哉
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