発売するか半年悩んだ。「ゴツゴツしたデザインの武骨」がヒットしたワケ

発売するか半年悩んだ。「ゴツゴツしたデザインの武骨」がヒットしたワケ
地域に根ざす、創業昭和29年の竹島武道具。小売店でありながら、自社ブランドの「武骨」を有していらっしゃいます。特徴的なデザイン「武骨」開発のきっかけや、専務自ら小手の型をつくったご苦労話をお伝えします(2017年5月)

プロフィール

有限会社竹島武道具

代表取締役社長 竹島睦祥 氏 取締役専務 竹島将司 氏    

創業の背景

—御社は鹿児島で創業されたのですよね。 竹島専務「そうです。祖父が剣道職人で、防具を製造していた。その後、親父が継いでやり始めました。祖父が亡くなり神奈川に引っ越して来て、そこからは修理だけをやっていました。そこから小売をやってみようかということで現在に至ります」   —先代は工場を経営されていたんですか? 竹島専務「先代は九州の大手工場を、兄弟子と一緒に立ち上げました。長崎で修行して、兄弟弟子だったようです」

武骨シリーズ製作の背景

  —武骨シリーズはなぜ作ろうと思ったんですか? 竹島社長「中国に行った時に、中国の工場の社長と話して、こういうのを1回作ってみたらおもしろいんじゃないかと。いまでいうピッチ面みたいなものですね。 間を空けることによって、生地を柔らかく厚くする。単純に3ミリで縫っていけば、薄くて固いじゃないですか。間を空けたら厚く、柔らかくなるのではないかと思ったんです。その時はピッチって概念がなかったと思いますけど、ピッチと同じ考えだと思います」   —新製品の開発をしようと思って、中国に行かれたわけではないのですか? 竹島専務「新製品開発というよりも工場視察です。どんな工場をやっているのか、どんな人がいて、どんなことをやっているのかと。向こうも来てくれと言っていたのでね」   —今はピッチ刺って最近はよくありますよね。当時だったら革新的だったのでは? 竹島専務「そうですね。でも、製品化するか半年間悩みました」   —どの点で悩みました? 竹島専務「デザインです。こういうゴツゴツしたデザインが売れるのだろうかと(笑)。今まで均等なものしかなかったじゃないですか。3ミリだったら3ミリ、5ミリだったら5ミリと。こういうデザインが剣道家に受け入れられるかどうかというのが、悩みだった」

刺し方が特徴的な「武骨」

  —武骨というネーミングはなぜつけられたのですか? 竹島専務「ネーミングは社長が考えた。ゴツゴツとして不細工な様子から」   —玄人受けしそうなネーミングですよね。 竹島社長「そのように受け取られたようで、安心しました」   —実際に商品化するまでに、ほかに悩まれたことは? 竹島社長「国体選手にサンプルで10個くらい渡したんです。高段者の先生方はミシン刺を使用されたことがなかったりするので」   ー反応はいかがでしたか。 竹島専務「人と違うものが使いたいという人は、すごく食いつきが良かったですね。あと、痛くないというのはモニターで分かったんです。うちの面は叩かれても、他の面より痛くない。でこぼこのところで衝撃吸収するのだと、そのとき気付きました(笑)」   —僕も実際に使用していますが、確かに痛くないですね。 竹島社長「うちは柔らかく、生地を厚くするというのを一番に考えています。他社で薄くて3ミリでピッチではないのと比べたら、衝撃吸収が良い」   —使用する材料は厚めにされているのでしょうか? 竹島社長「特別厚めにしているわけではありません。刺し幅を空ける分、そこの部分は絞まらないわけだから、結果として厚くなるんですね」

ご説明される竹島社長

デザインのこだわり

—刺し幅は3ミリ、6ミリ以外のパターンも試したんですか? 竹島専務「間隔が広すぎると、生地が切れちゃうんです。3ミリ・6ミリが限界ですね」   —ほかの刺し幅は試しましたか?4ミリ、8ミリとか。 竹島専務「それはね、ださくなるからやめた。シャープさが必要です。うちはデザインを大事にしている」   —武骨を買われる方は、機能性とデザイン性どちらを重視されているのでしょうか? 竹島専務「どちらもですね」    

変わるのは、素材だけ

—今後、御社は武骨以外の新製品開発をされていくのですか? 竹島社長「地味にやってはいるんだけれど、日々の仕事が忙しくて」   —他社では、色々な種類の防具とか素材も出てきています。新しいものを生み出そうとするとアイデアが必要ですよね? 竹島社長「そうですね。でもね、創業者のパートナーだったうちのおふくろから聞いたのは、小手とか面とかの形は変わらないということ。変わるとしたら素材しかないだろうと」    

武骨の小手を開発

4種類ある、武骨の小手

竹島専務「先ほどもいいましたが、面布団見て製品にしていいのだろうかと半年くらい悩みました」   —ごつごつしすぎたデザインということで。   竹島専務「最初に面布団が出来て、次にお客さんに小手を求められた」   —最初は面から出発したわけですよね? 竹島専務「面の布団からスタートして、次が小手の布団。小手の布団は一番楽だった。ただ、頭の握りをどうするか開発をしなくてはならない。これは苦労しました」   —小手布団の方はエッセンスを活かせます。 竹島専務「ただ、今度は握りを重視しなくてはいけない。頭の部分が普通ではおもしろくないから、考えて色々試行錯誤しました」 竹島社長「握りの形も人によって全く変わるので、材質を変えてみたり。こちらがすごく良いだろうと思っても、お客さんの意見は賛否両論だったりする。なので、型や材質を変えて何種類も作るはめになってしまった」   —機能性も全部違うんですか? 竹島専務「そうですね。クラシックなものが欲しい人もいれば、変わったものが欲しい人がいる。小手が1番時間がかかりますね。未だに迷っています」 竹島社長「結論が出ないもんね、小手は。人によって違うし。自分が良いと思っても人は違うし」    

専務自らが小手の型を製作

—これは何の型ですか?小手型?

武骨の小手型

  竹島専務「これはコピーされるとまずいので、カモフラージュしてください(笑)。結局こだわりたいがゆえに、小手の型を作るはめになってしまいした。小手の型なんて基本的に製造をやっているところしか持っていませんので」   —専務ご自身で型をおこされたのですか? 竹島専務「そうですね。やったことなかったけど(笑)」   —型をつくらないと、理想の小手は製造出来ないと思われたんですか? 竹島専務「職人さんに聞いたら、型なんかいじっちゃだめだよ、おかしくなっちゃうからと。できるわけないだろうと言われました」   —特殊な握りの形ですよね。 竹島社長「昔の小手は横から握るには最適だった。いわゆる”くそ握り”ってやつですね。それをしやすいようにつくっていたんです。うちの武骨は、握りが真っ直ぐになるようにつくっています」   —握ると正しい構えになっている、ということですね。 竹島専務「そういうことですね」

店舗でしか買えないオリジナル製品

手先が器用な竹島会長

  竹島社長「会長は手先が器用でね。お客さんから要望があるとなんでもつくっちゃうんですよ」   竹島会長「生地やデザイン、全て一点ものです。お客さんのことを考えて製作しているときは楽しいですよ」   竹島社長「一点ものなので、量産化できないのがたまにキズですが、会長の一点物目当てに寄ってくださるかたも多いです」   —ギフト用に最適ですね。 竹島会長「そういったかたが多いです。うちにきてくださるきっかけになると嬉しいですね」 —本日は、ありがとうございました。

前列左から竹島会長、竹島社長、竹島専務

今回インタビューを受けていただいた竹島武道具さんの商品ページはこちらインタビュアー   ◎代表取締役 上島 郷 1987年生まれ仙台出身。仙台高校剣道部時代に佐藤充伸氏に師事、インターハイベスト8。 大学卒業後、全米で200店舗展開する外食チェーン店の事業開発責任者を務める。外資インターネット広告運用企業での営業職、株式会社イノーバで営業部・社長室リーダーを経て、2017年1月にBushizo株式会社を設立。     ◎取締役 工藤優介 1984年生まれ北海道出身。 立教大学法学部卒業。在学中にはフリーマガジンの創刊、アパレルブランドのマーケティング支援を携わる。2008年ヤフー株式会社へ入社。検索連動型広告・ディスプレイ広告などの広告商品の営業に従事。2017年1月にBushizo株式会社を設立。 6歳から剣道を始め現在に至る。
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