剣道の稽古でケガをしないための身体ケア!コロナ自粛明けに気をつけること

身体ケアその1

2020年7月13日 • お役立ち記事 • Views: 6906

待ちに待った稽古の再開。

「さあ、剣道するぞ!」と気合いが入るお気持ちは分かりますが、数ヶ月運動していなかった身体に、自粛前と同じパフォーマンスを求めると思わぬケガにつながってしまうかもしれません。自粛前の稽古量が多かった人は、復帰できるまであまり時間がかからないかもしれませんが、一般の剣士の皆さんは、元のパフォーマンスに戻るまで、結構な時間がかかるものと思っておいた方がいいでしょう。

ですから、今回のコロナ自粛に限らず、久しぶりに稽古をする場合は特に、稽古前・後に、以前よりも入念なストレッチが必要になってくるかと思います。

そこで、今回は、久しぶりに稽古をする際に起こしがちなケガや、それを防ぐためのストレッチについてまとめました。

 

目次

久しぶりに稽古する場合に起こりやすいケガ

ケガを防ぐための対策
(1)稽古前(ウォーミングアップ)
(2)稽古中
(3)稽古後(クーリングダウン)
まとめ

 

久しぶりに稽古する場合に起こりやすいケガ

身体ケアその3

自粛明けに、いきなり稽古をしてしまうとどんなケガをしてしまうおそれがあるのでしょうか。よく見られるケガについて、いくつか例を挙げてみます。

① 筋断裂や腱断裂

筋断裂とは、スポーツなどで急激に過伸展を生じたり、鈍器などによる殴打などが原因となって、筋肉の線維が損傷・断裂を生じたりする外傷のことで、一般に肉離れと言われます。

剣道では、特に腓腹筋断裂すなわちふくらはぎの肉離れが多く、肉離れ全体の約70%を占めています。(一般では約20%)

また、腱断裂とは、腱が無理な力で引っ張られた時に、プッツリと切れてしまうことです。

身体のどの部分にも起こりえるケガですが、剣道ではアキレス腱の断裂や損傷がとても多くなっています。

 

② 急性腰痛症

身体ケアその4

一般に、ぎっくり腰と言われるもので、急に腰が痛くなる症状のことです。

くしゃみなどの不意の動作、前かがみなった瞬間などに激しい腰痛が生じます。

剣道は、構えや動きが左右非対称であることや、中段の構えの時に姿勢よく立とうとすると腰の反りが強くなりがちであったりすることなどから、競技の特性として、腰に負担がかかりやすい種目であると言えます。また、体当たりや打突の動作も、腰に負担がかかりやすいと言われています。

 

③ 各種関節捻挫

捻挫とは、関節をひねってしまい、靱帯など周辺の組織が引き伸ばされたり切れてしまったりする状態のことを言います。中でも、『足首をひねった』という足関節の捻挫が、スポーツ外傷の中では最も頻度が高いもので、剣道でも多く見られます。他には、首や腰、股関節などの捻挫もよく見られます。

 

④ 熱中症

身体ケアその5

熱中症とは、高温多湿の環境に、身体が適応できないことで生じるさまざまな症状の総称です。身体の中の水分量と体温のバランスの調整がうまくいかない時に発症します。

例年なら、寒い冬から暖かい春を過ぎ暑い夏へとなっていく中ずっと稽古を続けることで、

だんだんと暑さに順応した身体を自然と作っていくこと(暑気順応)が出来てきていたかと思いますが、今年はまだ寒い2、3月の稽古から突然暑い7月の稽古となっています。身体は十分に暑さに慣れていないと思いますので、無理は禁物です。また、コロナ対策ということで、通常つけていない面マスクやフェイスガード(アイガードやマウスガード)を装着することで、今まで以上に熱中症を起こしやすくなっていることにも注意が必要です。

ケガを防ぐための対策

それでは、久しぶりに稽古をする際に、どのようなことに気をつければケガを防ぐことができるのでしょうか。

(1)稽古前(ウォーミングアップ)

身体ケアその6

① 動的なストレッチ(準備運動)を行う

ウォーミングアップの名前通り、体温を上げて身体を温めることが目的です。筋肉や関節を温めることで関節の可動域を広げたり、中枢神経の興奮を引き起こすことで神経の伝達を促進したり、心拍数や血流量を徐々に上げることで心臓や肺に急激な負担がかかるのを防いだりする効果があります。

 

② 身体の可動域の確認

自粛前と今では、関節の可動域が変わってしまっています。それなのに、以前と同じように動けるつもりで動いてしまうと、ケガを起こすリスクが高くなってしまいます。

ですから、自分の身体が今はどこまで動くのか、稽古前に確認する必要があります。

この関節の可動域の確認は、動的ストレッチと同様に、動きの中でどのくらい可動するのか確認することが大切です。

 

* 注意すること

・ウォーミングアップには、15分以上時間をかけること

・ジャンプやダッシュなどの瞬発系の運動は避けること

(2)稽古中

身体ケアその7

① 無理しない

「動かないから動かそう」と思うのではなく、「動ける範囲で動けばいい」と考え、無理して動こうとしないようにしましょう。

 

② 身体が温まってきた時こそ慎重に

しばらく動くと、身体が温まってきて、動きがスムーズになってきます。そうすると、まるで「元のように動けるようになった」と思ってしまいがちなのですが、実際はそう簡単に戻っていることはありません。ですから、そういう風に感じた時ほど要注意。大きなケガを防ぐためにも、慎重に行動しましょう。

 

③ こまめに休憩を

面マスクやマウスガード等を装着して稽古を行うと、体温が急激に上昇し、熱中症のリスクが格段に上がります。面を着用しての稽古では、30分以内に一度、10~15分の水分補給を含めた休憩を取ることをおすすめします。

(3)稽古後(クーリングダウン)

身体ケアその8

① 静的ストレッチ(整理運動)を行う

稽古後は、稽古前の逆で、体温をゆるやかに下げる(クーリングダウン)ことを目的とした静的ストレッチを行います。クーリングダウンは、運動によって身体の中にたまった疲労物質を排出したり、無理なく全身への血流回復を促して身体への負担を軽くしたりすることが目的です。

② 痛みや違和感のある場所の確認

稽古をしてみて、自分の身体に痛みや違和感のある場所がないか、触ったり曲げ伸ばししたり、動かしたりしてみましょう。そこで、もし、痛みを感じるところがあった場合は、早急にその部分のケアを行うことで、大きなケガや慢性的な痛みを防ぐことにつながります。

 

* 注意すること

・クーリングダウンも15~30分くらいかけて行いましょう。

・身体を静めることが目的ですから、呼吸を整えながら行いましょう。

まとめ

身体ケアその9

稽古前の準備運動はごく普通に行われているかと思いますが、稽古後の整理運動はあまりしていないという方が多いのではないでしょうか?

ですが、そもそも左右非対称な動きで激しい動きをする剣道ですから、後々身体にトラブルが出ないようにするためにも、稽古後のクーリングダウンとなる整理運動は大切なのではと思います。稽古場では時間が無かったりするのであれば、お家に帰ってからでも軽く身体のケアをなさってみてはいかがでしょうか?

 

取材協力:医療法人社団 三松会 理事 ・ 慈心塾 代表 小松 梓先生

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