【熟語解説】剣道でよく使われる言葉を知って、修行に励もう!

2019年8月14日 • お役立ち記事, お役立ち記事2, その他 • Views: 240655

『気剣体の一致』や『守破離』など、剣道しているとよく耳にしたり、面手ぬぐいに書かれていたりする言葉たち。「意味は?」と聞かれたら、定かに答えられないものもあるのではないでしょうか。そこで今回は、そんな剣道熟語について、まとめてみました。剣道でよく使われる言葉を知って、修行に励みましょう!




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あ行

一意専心(いちいせんしん)

他のことに心を動かされずに、ひたすら一つのことに心を集中すること。

一眼二足三胆四力(いちがんにそくさんたんしりき)

剣道において、大事な要素を順番に示したもの。

第一に相手を見る目、第二は足さばき、第三は胆力つまり何事にも動じない強い気持ちや決断力、第四は力つまり技を発揮することができる身体能力という順に重要であるという教え。

一拍子の打ち(いちびょうしのうち)

動作が二挙動にならないように打つこと。

一挙動(いっきょどう)

挙動とは、動作のこと。

剣道では、素振りで言うと、

三挙動 1.振りかぶる 2.打つ 3.中段の構えに戻る

二挙動 1.振りかぶる 2.打つ

一挙動 1.打つ

 

一心不乱(いっしんふらん)

一つのことに集中して、他のものに注意をそらさないさま。

一足一刀の間合い(いっそくいっとうのまあい)

一歩踏み込めば相手を打突でき、一歩下がれば相手の打突を外すことのできる間合いのこと。通常、お互いにこの間合いから打突を行なうことが多く、基本の間合いとなる。

一刀流(いっとうりゅう)

戦国時代末期に鐘捲流(かねまきりゅう)の流れを汲む伊藤一刀斎によって創始された剣術の流儀。弟子の小野忠明が、徳川将軍家の剣術指南役になったことから隆成した。

有構無構(うこうむこう)

宮本武蔵が『五輪書』(水の巻)で、構えについて説明したもの。「有構無構といふは、太刀をかまゆるといふ事あるべき事にあらず……構はありて構はなきという利也。」

(太刀の構えが有ると思うのは間違ったことである……構えはあるが構えはないということである)「形にとらわれるな。」という教え。究極は、「形の構え」を離れ、「心の構え」に重きを置くことが重要と述べている。

 

雲外蒼天(うんがいそうてん)

困難を乗り越え、努力して克服すれば、よいことが待っているというたとえ。雲は、様々な障害や悩みを表している。

遠山の目付(えんざんのめつけ)

まるで遠くの山を眺めるように相手の全体を見ること。剣道では、一般に、相手の目を中心に体全体を見るようにして、特定の一点に集中しないことと言われている。

 

か行

会心の一撃(かいしんのいちげき)

会心とは、心にかなうことの意味で、思い通りにうまくいった素晴らしい一撃のこと。

 

勝ちに不思議の勝ちあり・負けに不思議の負けなし(かちにふしぎのかちあり・まけにふしぎのまけなし)

松山静山の剣術書『常静子剣談』に書かれた言葉。偶然勝つことはあっても、偶然負けるということはない、負けにつながる必然的な理由があるという意味。

 

気剣体の一致(きけんたいいっち)

気合(声)、竹刀の働き(打突)、体捌き(右足)の三つが常に一緒になって打突しなければならず、一つでも欠けたら有効打突にならない。気とは、意志や心の働きのことで、充実した気勢や大きな声を出し気持ちを集中させての決断力を言い、剣とは、竹刀の働きのことで、刃筋の通った正しい竹刀操作を言い、体とは、正しい体さばき・体勢のことで、正しく踏み込んで打つことを言う。心気力の一致ということと同じである。

驚懼疑惑(きょうくぎわく)

剣道の四戒(四つの戒め)のことで、剣道修練中に、心中に起こしてはならない心の動きのこと。

驚(きょう) :予期しない相手の動作に驚いて、心身の活動が乱れ、正常な判断

と適切な処置がとれず、なす術のない状態になること

懼(く;恐) :恐怖のことで、相手を恐れて。精神の活動が停滞し、四肢が震え

て自由な動きを失うこと。

疑(ぎ)   :相手の気持ちや行動をあれこれと疑い、平静な判断を下せず、決

断がつかない状態のこと

惑(わく)  :心が迷って、精神昏迷、迅速な判断や軽快な動作をなすことがで

きない状態のこと。

虚実(きょじつ)

虚とは相手の守りの弱い状態のところ、実とは十分守っている状態のところ。実を避けて、虚を打てという教え。

稽古(けいこ)

古(いにしえ)を稽(かんが)えるという意味で、日本古来の伝統的な武芸の修行や練習のこと。形の練習においては、過去の達人である先人の遣った理想的な形に近づくべく修練することをいう。

剣心一如(けんしんいちにょ)

剣は人なり、剣は心なりといわれるように、剣は心によって動くものであり、剣と心は一元的なものである。したがって、正しい剣の修行をすれば、正しい心を磨く結果となるということ。

剣禅一致(けんぜんいっち)

沢庵和尚の「不動智神妙録」にある語。剣道の究極の境地は、禅の無念無想の境地と同じであるということ。

懸待一致(けんたいいっち)

「懸」とは、相手を攻めたり打ちかかったりする攻撃の意味で、「待」とは相手の動きを冷静に見極めながら出方を待つ意味。「懸かる」と「待つ」は表裏一体をなすものであり、攻撃中でも相手の反撃に備える気持ちと態勢を失わず、受けにまわったときでも常に攻撃する気持ちでいることが大切ということ。

交剣知愛(こうけんちあい)

「剣を交えて“おしむ”を知る」と読む。剣道を通じて、互いに理解し合い、人間的な向上をはかることを教えた言葉。『愛』は、“おしむ”すなわち大切にして手放さないことを意味しており、あの人とはもう一度稽古や試合をしてみたいという気持ちになること。また、そうした気持ちになれるように、稽古や試合をしなさいという教えを説いている。

克己心(こっきしん)

「己に打ち克つ」つまり、強い意志をもって物事にあたるための心持ちのこと。

克己忍耐(こっきにんたい)

自分の怠け心や欲望に打ち勝ち、忍耐力をもつ精神を養うこと。

五輪書(ごりんのしょ)

宮本武蔵の著した兵法書。武蔵の代表的な著作であり、剣術の奥義をまとめたといわれる。書名の由来は、密教の五輪(五大)からで、それになぞらえて、「地・水・火・風・空」の五巻に分かれている。



さ行

三殺法(さんさっぽう)

相手を制するための手立てとして、相手の剣、技、気の三つを封ずること。

剣を殺す :相手の剣を押さえる、払うなどして、剣の働きを制する。

技を殺す :先手先手と攻め、相手に技をしかける余裕を与えない。

気を殺す :気力で相手を圧倒し、相手が攻撃しようとする機先を制する。

残心(ざんしん)

打突後も、油断することなく、相手の反撃に対応できる身構え・心構えのこと。一般的には、打突後に間合いをとって中段の構えになり、相手に正対する。この残心がないと、有効打突と認められない。

四戒(しかい)

驚懼疑惑のこと。

直心是道場(じきしんこれどうじょう)

元々は禅の言葉。直心とは、真っ直ぐな心、素直な心、また、真実にぴったりと合った心などを意味している。素直な心を持っていれば、どこでも修行の場(道場)になるということ。

止心(ししん)

ある一つのことに心が奪われてしまい、そのために他のことが見えなくなって、肝心のことがおろそかになり、失敗すること。

守破離(しゅはり)

日本の武芸における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修業における過程を示したもの。

守(しゅ):「みはる・番をする」で、初歩の段階で、師の教えを忠実に守り、稽古

に励み、技を練ること

破( は ):「こわす・やぶる」で、今まで学んだ教えを自分のものにし、なお進ん

でいろいろな方法を学び、その長所を取り入れ、守の段階では得られなかった新しい面を知り、いっそう強力となること

離( り ):「わかれる・遠ざかる」で、破以上となり、独自の境地を見いだし、奥

義を極め、師から離れ、師以上になること

 

序破急(じょはきゅう)

日本の雅楽の舞楽から出た概念であり、日本の武芸で使用される。物の動きの順序を教えたもので、初めは静かに次第に早く、最後は最も急にやれということ。剣道の打突も、初めは心静かに始動し、最後の打突のところが一番強く一番鋭くなければならない。

心気力の一致(しんきりょくのいっち)

心 :相手の動静をうかがい、技のすべてを司る心の働きで、自分の意志を決する

根元のこと

気 :気合、気勢、気力のこと

力 :体の運用、技の動作のこと

心気力の一致とは、主に攻防動作の教えであり、この心気力の三者が一体となって働くことにより、迫力ある有効打突が生じる。気剣体の一致と同じ意味。

 

心月円明(しんげつえんめい)

心月とは、月のように澄み切って明らかな心。円明とは、理知円満の境地に達して明らかに悟ること。宮本武蔵が開いた円明流は、この言葉が由来といわれている。

 

切磋琢磨(せっさたくま)

互いに励まし合い、競争し合って共に向上すること。




た行

大強速軽(だいきょうそくけい)

稽古の基本的な心得をいった言葉。技は大きく、気は強く、息は速くして足は軽やかであれということ。

丹田(たんでん)

古来より、人体の“気を練る”場所として知られている。一般に丹田というと、へそ下三寸のところの『臍下丹田』のことを指す。

 

は行

百花斉放(ひゃっかせいほう)

いろいろの花が一斉に咲き開く意味。文学・芸術において、多くの人が活発に運動を展開すること。

百花繚乱(ひゃっかりょうらん)

いろいろな花が咲き乱れること。転じて、秀でた人物が多く出て、すぐれた立派な業績が一時期にたくさん現れること。

 

不撓不屈(ふとうふくつ)

どんな苦労や困難にもくじけないさま。

不動心(ふどうしん)

外部からの働きかけによって動かされない心、物事に動じない心をいう。

文武不岐(ぶんぶふき)

学問と武道は別物ではなく、学問を極め何が正しいかを知ることは、武道の厳しい修練を積み、人として向上することに通じ、その逆も同じということ。学問と武道は一体ということ。不岐とは、『わかれず』という意味。

文武両道(ぶんぶりょうどう)

文事と武事、学芸と武芸、その両道に努め、秀でていることを指す語。

平常心(へいじょうしん)

物事の変化に対し、日頃の気持ちで動揺することなく、冷静に対応できる磨かれた心の状態のこと。

ま行

 

三つの先(みっつのせん)

機先をとる技を先の技といい、古来より「三つの先」と言われて、剣道修業の上で特に大切とされているもので、この『先』を自分のものにするよう、常に心がけなければならない。宮本武蔵の五輪書にも、この「三つの先」は大切なこととして書かれている。

先先の先 :相手がかかってくる前に、こちらから先にかけて打ち込むこと。剣道

で、最も尊ぶ技。「かりの先」とも言われる。

先    :相手と対して機会を見、相手が打突してきて、こちらも打突に移る

時、相打ち、応じ返して、先をとること。「対の先」「先前の先」とも言われる。

後の先  :すきを見て相手が打ち込んでくるのを待ってすり上げ、打ち落とし、

打ち返し、体をかわして引き外し、抜き、などして、相手の気のひるんだところを打ち込んで勝つ技。「待ちの先」とも言われる。

無心(むしん)

心の中に何のこだわりも執着心もなく、あれこれ考えたり悩んだりすることのない心の状態をいう。心が無いという意味ではない。沢庵和尚がの「不動智神妙録」の中で、「無心の心と申すは、固り定りたる事なく、分別も思案も無き時の心、石か木かのやうにてはなし」と述べている。

無念無想(むねんむそう)

すべての邪念を離れて、無我の境地に達した状態のこと。

 

明鏡止水(めいきょうしすい)

明鏡は一点の曇りもない鏡のこと。止水は止まって静かにたたえている水。そこから、邪念がなく、澄み切って落ち着いた心を表す。

 

や行

勇猛果敢(ゆうもうかかん)

勇ましくて力強く、決断力のあるさま。

 

ら行

理業一致(りぎょういっち)

理は理合いで、業は技のこと。剣道を学ぶには、理に偏ってもいけないし、技ばかりに片寄ってもいけない。理を根底にして技を磨いていくのが理想で、理と技を一元的に修練するのが理業一致である。

理念(りねん)

ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え。剣道の理念は、「剣道は、剣の理法の修練による人間形成の道である」とされている。

 

まとめ

上記の言葉の中には、審査の筆記問題に出るものも含まれています。

剣道が強くなるためには、技を磨く稽古の他に、剣道の精神的な部分を勉強することも大切ですね。

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