剣道を始められて間もないうちは、剣道具の装着方法がわからない!という方も多いのではないでしょうか。経験者でも付け方が上手くいかないと、動きにくく、一歩間違えれば安全性にも問題が生じてしまいます。
剣道具は自分の身を守るために正しく身に着ける必要があります。
そこで、今回は正しい剣道具の装着方法を解説していきます。
防具が到着したあとのセッティング
剣道具をインターネット等で購入された場合の多くは、面紐・胴紐は本体に付けられていません。各部位の詳細説明をすると共に、取り付け方をご紹介します。
1.胴紐の取り付け
胴の上部、両肩に付いている輪を「胸乳革」、両脇に付いている4つの輪を「胴乳革」といいます。また胴紐にも2種類あり、長い方の紐を「胸紐」、短い方の紐を「腰紐」といい、紐の片側に輪が付いています。胴乳革の上の方には胸紐(長い方)を、下の方には胴紐(短い方)を、あらかじめ取り付けます。
①胸紐の先端の輪に、胴乳革の上の方を通します。
②胸紐の反対の先端を、①の胴乳革の輪に入れ、強く締めます。
③同様に反対側の胸紐と、左右の胴紐も胴乳革に取り付けます。
2.面紐の取り付け
出典:百秀武道具店のウガ店長
胴と同じく面にも面紐と、それを取り付けるための乳革「面乳革」があります。また、面前側の顔面部位を守る金属部分を「面金」といいます。
①面金の下から4本目(13本型なら3本目)に面乳革を通します。
②面の下側の乳革が上になるように重ねます。
③重ねた面乳革を面紐の先端の輪に通します。
④面乳革の切れ目に面紐の反対側の紐を通し引っ張ります。
剣道具を装着する前に
しっかりと正しく付けられるよう、正座して(垂は付けにくければ立膝の姿勢で)始めましょう。
剣道具の種類
剣道具は面、小手、胴、垂を用いることになっています。
※「全日本県剣道連盟規則」より
装着の順番
剣道具をつけるには順番があります。
垂⇒胴⇒面⇒小手
の順でつけます。
装着の仕方
1.垂の付け方
垂は腰、及び局部を保護する防具です。
下腹と腰に力が入りやすいように前下がり、後ろ上がりで着けます。
①中央の大垂を正面にして腹帯を下腹部に当て、垂紐を後ろへもっていきます。
袴の腰板の上で交差させ、しっかりと締めます。なるべく腰板の下部で垂紐を交差させるとずれにくくなります。
②交差させた腰ひもを前へまわし、垂の中央(大垂)の下でしっかりと蝶々結びにします。
垂紐には少し幅があるので、ねじれないよう注意してください。
2.胴の付け方
胴は脇を含む胴体の保護のために身に付けますが、剣道具の中で一番目立ち、自分を表現する事が出来るものとして伝統的な刺繍などを施したものもあります。
①胴を胸に当て、胸紐を左右1本づつ背中で交差させ、胸乳革に通ししっかりと結びます。
紐の結び方は複数ありますので、一例をご紹介します。
1) 1本ずつの胸紐を胸乳革の根元に持って行き、1周〜2周させます。
2) 輪っかを作り、その輪っかを胸乳革に通します。
3) 下の巻きつけた紐を引き上げ、きつく締めます。
胸紐もねじれないようにしましょう。
②脇部分の下部の紐(腰紐)を後ろへまわし、後ろ中央でしっかりと蝶々結びします。
3.面の付け方
面は頭部と喉を保護する剣道具です。面を装着するために重要な面紐の結び方は、大分して「上付け」と「下付け」がありますが、ここでは比較的スタンダードな「下付け」をご紹介します。面から出る後頭部を覆い、頭髪をまとめ汗を吸う目的で、手ぬぐいを頭部に巻いてから装着します。
①面を左右に開いてかぶり、顎と額が面の内側にしっかりと密着するよう前側から押して装着します。
②面紐を後頭部へもっていき、目の高さで交差させしっかりと締めながら前へもってきて、面金の一番上部分に交差するように通します。
※ここまで、繰り返しの装着の際には、面を脱ぐ時に紐を緩めるだけにしておくと、あらかじめ面金上部分に通されている紐を締めるだけで済みます。
③緩まないよう締めながら面紐を後頭部へもっていき、蝶々結びでしっかりと結びます。
④面金から後頭部にかけての面紐を、ねじれないよう、また重ならないように、きれいに2本になるよう整えます。
⑤面紐後ろの蝶々結び部分の、輪の部分と1本になっている部分、全ての長さが揃うように調整します。
⑥最後に、耳と接している部分に緩まない程度に手で隙間を作ります。
4.小手の付け方
小手は手から腕の肘より前部分を保護する剣道具です。付け方は他と比較すると簡単ですが、装着する際の注意点として肘側の小手布団の端を持って引っ張らないようにしましょう。型崩れの原因となります。
①小手頭と呼ばれる手指側の部分を持って手にはめます。
②小手布団を押さえ、押し込むようにして指まで内部に密着させます。
剣道具の歴史を知ろう!
剣道具を正しく装着するには剣道の歴史をひも解く必要があります。剣道の歴史を語るなら、日本刀・剣術の起源である平安時代まで遡る事になります。
日本刀の出現と共に生まれた剣術は、日本最古の武士政権である鎌倉幕府末期以降に進歩を遂げ、続く戦乱の世と共に姿を変えてきました。そして江戸幕府開府以降、平和な世が訪れるに従い、人を殺す技術から武士の人間形成を目指すものへと昇華しました。
更に太平の世が続き、江戸時代後期、直心影流の長沼四郎左衛門国郷が竹刀で打突しあう「打込稽古法」を確立させました。これが現在剣道の源流と言われています。
この長沼国郷が剣道具を開発しました。その後も発展を続け、様々な流派に波及していきました。
剣道具は鎧兜を基として造られました。長きに渡る職人の努力などにより、携帯性や着装時の動きやすさを考えられた上で形状・材質等の改良が重ねられ、現在の様式へと変化してきました。
剣道具は竹刀同様、剣道という競技において重要なものです。価格や種類には多様性があります。材料には通気性に優れた鹿革や、近年では比較的扱いやすいクラリーノ(人工皮革)などが使用されています。制作方法は、職人が一針ずつ手刺しするものと、ミシンを使用するもので価格も大きく違ってきます。剣士にとって大切な剣道具、日々の手入れのみならず装着方法も正しく学び、安全に使用しましょう。
まとめ
以上が基本的な剣道具の装着方法となります。
慣れてくれば時間をかけることなく装着できるようになります。剣道具を正しく装着すれば、身も心も引き締まり、上達への早道になります。正しい装着方法を習得し、安全に稽古に励みましょう。
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