剣道をされている方は、稽古中に「竹刀の点検して」と指導者の方から言われたことがあると思います。
手入れ・破損した竹刀の点検方法を網羅的に理解している剣士は案外少ないのではないでしょうか。
この記事では、竹刀の基本的な手入れ方法から、竹刀購入後に長持ちさせるための手入れ方法までを、詳しく解説していきます。
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※こちらの動画も併せてご覧ください。
竹刀とは
全日本剣道連盟では「剣道は、竹刀による『心気力一致』を目指し、自己を創造していく道である。『竹刀という剣』は、相手に向ける剣であると同時に自分に向けられた剣でもある。この修錬を通じて竹刀と心身の一体化を図ることを指導の要点とする」という剣道指導の心構えを説いています。
竹刀はかつて刀であり、十五歳で成人したらようやく帯刀できる武士の誇りでもありました。刀を持つことそのものが武士の自尊心を満たし、責任感を植え付けました。現代の剣士も竹刀を神聖なるものと捉え、竹刀を持てることに感謝し、取り扱わなければなりません。
竹刀を点検する理由
竹刀を点検する理由は、破損した竹刀をそのまま使用して稽古をすることが大変危険だからです。竹のささくれが相手の目に入る危険性もありますし、割れた竹が防具で覆われていない部分に刺さることもあります。それだけに留まらず、先革の緩みなどがあると、そこから竹が飛び出るという恐ろしい事態につながりかねません。
稽古中も小まめに竹刀を点検し異常がないか確認すること、稽古後にはしっかりと手入れを行うことは、剣道家の基本であり、また相手を傷つけないようにという敬意の表れでもあります。
竹刀の手入れ方法
竹刀の点検中に破損が見つかれば、その竹刀はすぐに使用をやめ、代わりの竹刀を使いましょう。稽古後には竹刀の手入れを行ってください。ここでは竹刀のそれぞれの部位の点検方法、及びそれらの部位に破損がある場合の手入れ方法について紹介します。
※手入れに必要な道具
竹刀削り、サンドペーパーがあれば十分です。また竹の割れを防ぎたい場合には、竹刀油などの油もあると効果的です。
サンドペーパー型竹刀削り竹磨くん800円(税込)
竹刀削り匠2,160円(税込)
定番!竹刀油1,300円(税込)
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・竹
竹は竹刀の中でも打突の際に一番衝撃を受ける場所です。特に物内の部分がささくれていないか、亀裂の入った竹はないか、これらは小まめに確認しましょう。またカーボン竹刀を使用されている方は、カーボンの繊維が露出していないか確認します。
ささくれがあった場合には、サンドペーパーと竹刀削りを使用します。
小さなささくれでしたら竹刀を分解せずに、竹刀削りやサンドペーパーを使用してささくれを取り除くだけで大丈夫です。大きなささくれがある場合には竹刀を分解し、組んだ状態では見えない部分もしっかりと確認してから取り除きます。
竹刀削りを使い削る際には、竹に対し直角に近い角度で刃を当てるのがポイントです。また削る方向は一定方向です。削り終わったらサンドペーパーで仕上げ、最後に油を布等につけ軽く拭いておくと、破損しにくくなります。
ささくれだけでなく亀裂が見つかれば、その竹はもう使えません。同様に割れた竹も使用厳禁です。
このように4本の内どれか1本でも竹が使用できなくなった場合には、竹を組み替えることで竹刀を組み直すことができます。組み替え時には、まず竹刀を分解して4本の竹をつなぐ契(ちぎり)を取り出します。このとき新しく入れる竹は元々の契がはめ込まれていたミゾと合わない場合がありますので、ノコギリなどを使用して新たなミゾをつけてあげます。
このミゾがきつすぎると契が入りませんし、逆に緩すぎると契がしっかりとはまりません。ミゾはいきなり深くつけるのではなく、様子を見ながら徐々に深くしていきましょう。
また、新しく竹刀を購入する際には現在使用している竹刀を持って行き、竹の節の位置が同じところにある竹刀を選ぶことで、組み替え時にも節の位置の揃った竹刀を組むことができます。
ちなみに打突側の竹を弦側に組み替え、竹を回して使うことで竹刀を長持ちさせようとする方もいますが、これは逆効果です。普段加わっている力と反対の力が加わることで、返って壊れやすくなりますので、使えなくなった竹を交換していく方が、長持ちするでしょう。
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先革
先革に穴が空いたり、破れそうになったりしていないか見ます。これにより竹が飛び出す危険性を防ぎます。
穴があいていたり擦り切れそうなものは、すぐに新しいものに交換します。また先革の太さは財団法人全日本剣道連盟の定める、剣道試合・審判規則第3条、細則第2条(1.2)で規定されていますので、年齢などを考慮し、自身に適したサイズのものを使用しましょう。
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中結
中結は緩んでいないか、また切れそうになっていないかを確認します。中結の役目は4本の竹がバラバラになるのを防ぐことです。中結が緩いと先革も外れやすくなりますので気をつけましょう。
緩みがある場合には、しっかりと締め付けます。また最後結びきれずに先端が余ってしまった場合には、はさみで適当な長さに切ります。
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弦
竹刀がしなる際に、バラバラになるのを防ぐ役目を持つのが弦です。緩いと打突時に先革が外れる可能性がありますので、ピンと張った状態であるか確かめます。
緩んでいれば、締め直します。柄革や弦自体も使用していくうちに伸びるものなので、定期的に締め直すことを心がけましょう。
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柄革
柄革が緩いと手の内の冴えが十分竹刀に伝わりません。パフォーマンスを上げるためにも、竹刀に合った柄革を使用します。
使用していくうちに緩んできたら新しいものに変えましょう。また再利用したい場合には熱湯を少しかけ、革を収縮させます。乾くと多少すべりやすくなるので、革をしごいてなじませます。
竹刀仕組み部品セット(床柄革吟風)1,200円(税込)
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購入後の手入れ方法
破損があった際の手入れも大事ですが、新しく買った竹刀も、予め手入れをしておくことで良い状態を保つことができます。
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通気、温度
竹刀購入後は、湿気の少ない、通気性の良い場所で保管します。また温度の上がりにくい、常温の場所が良いでしょう。更に手間はかかりますが、保管時には付属品も外した方がより効果的です。なぜなら付属品に使われる革はホルマリンなどの化学薬品を使っているため、つけっぱなしですと劣化を早める可能性があるからです。
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油
定番!竹刀油1,300円(税込)
竹に油を染み込ませて何日かおいておくのも、竹刀の強靭さを保ち、長持ちさせるのに有効です。方法としては、ティッシュや脱脂綿に油を染み込ませたものを、竹刀の竹を一枚はがしたところから入れ、節に噛ませます。竹は節のところからしか油を吸わないためです。噛ませた後は、竹刀を組み直して糸で固定します。油が染み渡るまでには大体1ヶ月から2ヶ月程かかります。
油は専用の竹刀油というものがありますが、それ以外のものを使用する際には、竹と同じ植物性のものが良いでしょう。また色をつけたいのであれば胡桃油がおすすめです。渋がつき、柿色になっていきます。
竹刀用油
油の代わりにろうを使う方もいるようですが、おすすめしません。なぜならろうは塗る際にムラができてしまいますし、稽古中に相手の防具に付着する可能性があるからです。一度ついたろうは落とすのが大変です。更に寒くなるとろうが剥がれ、床なども汚してしまう可能性があります。
まとめ
様々な竹刀の手入れ方法を紹介してきました。
ここまで読んでこられた方の中には、たくさんの手順があり、面倒だと思われた方もいるのではないでしょうか。しかし、ただ強さを追い求めるだけではなく、竹刀の手入れを行うことで安全に配慮し、相手も慮ることができてこそ、「勝負の場においても礼節を尊ぶ」剣道家と名乗れるのではないでしょうか。また、手入れを行うことで竹刀にも愛着が沸くなど、心の変化も起きるはずです。
常に手入れを怠らず稽古に励むことで、剣道の上達にもつながっていくことでしょう。
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