明治2年創業の「旗イトウ製作所」は、大漁旗工場として140年以上の歴史を持つ老舗です。明治27年に札幌から小樽に移転し、現在は小樽堺町の元北酒連倉庫を改装し、店舗兼工場として営んでいます。
昔ながらの手染めにこだわる職人の数は、減少傾向とのこと。剣道具製作の職人と同じような状況にあるようです。
今回は、北海道小樽市で工場見学・取材を実施させて頂きました。
プロフィール
伊藤 晴竹(いとう・はるたけ)
小樽市出身。
明治時代から代々続く大漁旗などをつくる染物屋の次男として育ち、子どもの頃から兄弟とともに家業の手伝いをするのが当たり前の日々を送る。もともとモノ作りが好きだったことから、高校卒業後は家業を継ぐため「名古屋造形大学」へ進学。2年間デッサン、工芸、染め等を学び、卒業後は岐阜県の相撲の幟などを手がける「吉田旗店」で4年間修行を積む。その後24歳で小樽へ戻り「旗イトウ製作所」へ入社。父親で5代目の一郎さんの指導を受け腕を磨くが昨年一郎さんが他界。若き6代目として晴竹さんが受け継ぎ、代々の技に現代の技術を取り入れながら看板を守っている。
ー先日は神奈川県立光陵高校剣道部様の部旗製作、ありがとうございました!
(製作事例:神奈川県立光陵高校剣道部様)
伊藤「こちらこそありがとうございました!」
ー工場を見学させていただきたいのですが…
伊藤「もちろん大丈夫です、ご案内いたします」
工場見学
ーインクジェットの工場
伊藤「インクジェットで染めるTシャツですね。手染めだけではなく、インクジェットにも対応しています」
ーTシャツの製作もあるのですね!
伊藤「メインの仕事ではないですが、一枚からお受けしているのでご発注いただくことは多いですね(笑)」
ー手染めの工場
ーこちらはどういった場所ですか?
伊藤「手作業で処理をする場所ですね」
ーはけの色のバリュエーションがかわいいですね(笑)。
伊藤「色付けは、染めない部分を筒糊置き処理をします。その後、はけで塗っていきます」
ーレーザー加工の工場
伊藤「トロフィーなども製作しているので、レーザー加工の機械もあります」
ーキーホルダーも製作されているのですね!
伊藤「手染めだけにこだわるのではなく、デジタルで効率的にやれる仕事はデジタル化も進めています。ハイブリッドに手作業とデジタル処理をこなしていきたいと思います」
ーこれは型紙でしょうか?
伊藤「型紙をおこしている作業です。のれん製作は飲食店が多いんですよ。ラーメン屋さんは特に多いですね。のれんにこだわっているお店は毎年新しいのれんに新調されたりしています。
ほとんどリピーターのお客様ですね」
手染め職人は減少傾向
ー手染めの職人は減少しているのですか?
伊藤「手間暇かかるので、工程が大変です。わざわざ後を継いでやろうと言う方は少なくなっていますね」
ー剣道具の職人と同じような状況なのですね…。御社と同じような職人さんは国内に何社あるのでしょうか?
伊藤「組合に入っている方が60名程いらっしゃいます。組合に入ってない方もいるので少し多いと思います。ざっくり言うと100-200社くらいではないでしょうか」
ー京都は染物が有名ですよね。
伊藤「京都の染物は有名ですが、旗染めの職人数は現在数十名ほどではないでしょうか」
ーそうなんですね…。京都と北海道、染める地域によって風合いが変わってくるのですか?
伊藤「作り方も違いますし、気候も違うのでやはり変わってきますね。気候によって調合も変えたりしますので」
ー手染めの良さはどういったところにありますか?
伊藤「やはり色の深みが全く違います。剣道手拭いのご発注もありますよ。手染めは難しいですが、やりがいがありますね」
ー剣道具の職人に限らず、国内の職人を一人でも応援したいと思いを新たにした1日でした。本日はありがとうございました!
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