昨今、ますます盛り上がりを見せている通称「横浜七段戦」。
今年は橋本桂一選手が実業団剣士としては初の栄冠を手にしました。
七段戦は以前「剣豪丸目蔵人顕彰全日本選抜剣道七段選手権大会」として、熊本県錦町(にしきまち)で開催されていたことを読者の方々はご存知でしょうか。
「全日本選抜剣道七段選手権大会」は、月刊誌「剣道時代」500号刊行を記念して、同誌と神奈川県剣道連盟との共催で2014年に復活しました。
なぜ、剣道雑誌である剣道時代が大会運営をするに至ったのか。「剣道時代」小林編集長にインタビューさせていただきました。
プロフィール
小林伸郎(こばやし・のぶろう)/1972年神奈川県生まれ。1995年、体育とスポーツ出版社入社、剣道時代編集部に配属される。2010年から編集長となる。剣道錬士七段。
七段戦、復活までの道のり
小林編集長「七段戦は近年ですと、熊本県にある錦町で開催されていました。剣豪・丸目蔵人(まるめ・くらんど)の出身地として知られています。丸目蔵人はタイ捨流を創始、相良藩剣術指南役を務めました」
画像の出所:錦町ホームページ(http://www.nishiki-machi.com/summary/marume.html)
—もともと、錦町という町が運営していた大会だったのですね!
小林編集長「一つの町が、大規模な大会の運営を実施していたのです。民泊のようなかたちで、町民が選手の宿泊を受け入れることもありました。出場選手は当時の七段ですので、現在はほとんど八段の先生ですね。
当時の落語協会会長で剣道範士七段の柳家小さん師匠が講演を行うなど、豪華な大会でした。 惜しまれながら、閉幕となりました」
—なぜ剣道雑誌である「剣道時代」が、七段戦を復活させようと考えたのでしょうか?
小林編集長「“七段の方々が個人で試合をする場を復活させたい”というのが一番の理由ですね。八段戦はありますが、七段の方々が試合をする場がぽっかりとなくなってしまいました」
—なぜ運営に携わることになったのですか?
小林編集長「雑誌でよくあるのが、記念号で過去の大会を振り返るということです。雑誌側としてはそれで問題ありませんが、違うことをやりたいと思いました」
—なるほど!大会は、神奈川県剣道連盟と共催で運営をされていらっしゃいますよね。
小林編集長「私たちだけで運営するのは難しいと思いました。大会運営には、人手もお金もかかります。この問題を解決するために、神奈川県剣道連盟会長の小林 英雄(こばやし・ひでお)先生に相談させていただきました。大会開催の趣旨をお話したところ、『意義があることなので、ぜひ共同開催しましょう』と言っていただきました。大変有難かったです」
—審判の先生も、錚々たるメンバーですね。
小林編集長「選手の選考基準は、全国レベルの大会で入賞されている方々です。一流選手の試合の審判は、過去に同じ実績を残されている先生方にお願いしたいと考え、賛同をいただくことができました」
ー先日教えていただいた大会のコンセプトが言い得て妙だなと思いました。
小林編集長「大会のコンセプトは“第一試合から決勝戦”というものです。どのリーグをみても“死のリーグ”ですね(笑)。見応えがありますよ。今年は橋本桂一選手が実業団剣士としては初めての栄冠を手にしました」
ー本当に誰が優勝してもおかしくありませんよね!
小林編集長「日本一を目指す選手たちにとって大きなチャレンジの場となっています。今後も七段の選手が目標にするような大会になっていけば嬉しいです」
ー選手からはどういった捉えられ方をしているのでしょうか?
小林編集長「七段の選手の修行の成果や今の実力を試す場になり、さらに日本最高の八段位をめざすステップとなっています」
クラウドファンディングの活用
小林編集長「開催を重ねていくにつれて剣道ファンや愛好家の方々からも『継続してほしい』といったお言葉を多くいただくようになりました。現在会場となっている神奈川県立武道館は、会場が狭く、板敷きに座っていただくかたちの観戦ですが、ありがたいことに毎年たくさんの方々にご来場いただいております」
ー大会の運営費はクラウドファンディングを利用して、集めていらっしゃいますよね。これまで、剣道業界でクラウドファンディングを利用した例はなかったと思います。
小林編集長「クラウドファンディングという存在は知っていました。資金調達というのが、第一の目的ですね。大会を宣伝するという目的もあります。SNSで大会の存在を知ってくださった方も多かったのではないでしょうか」
※画像の出所:Ready for(https://readyfor.jp/crowdfunding)
ー3年前からクラウドファンディング活用を始められました。1回目から目標金額到達に成功されていましたね。
小林編集長「運良く、1回目から成功することができました。クラウドファンディングの運営会社もリターンの設計に参加してくれましたので、結果として成功し続けられているのだと思います」
※2018年開催の出場選手
画像の出所:体育とスポーツ出版社
まとめ
剣道日本が休刊となった今、「剣道時代」は伝統ある唯一の剣道雑誌です。媒体として記事を届けるだけではなく、大会の運営を通しても剣道業界に貢献しておられます。
ここに書くことができないのですが、「剣道時代」の様々な構想を披露いただけました。剣道業界の発展に寄与したいという思いはBUSHIZOと同じですので、何かしらのカタチで一緒に剣道業界を盛り上げていくことができると大変嬉しいです!
温故知新を体現されている「剣道時代」のますますのご発展を祈念いたします。
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