LET’S剣道の動画広告を見て、
「防具、洗えるよ!」
「防具、洗わんのかい!」
というフレーズが頭から離れない読者の方々も多いのではないでしょうか。
剣道防具専門クリーニング“武蔵坊剣洗”(http://bougu-kensen.com/)は、直近一年間のクリーニング依頼件数750件、点数(個数)1875点を手掛ける剣道具クリーニング業界の盟主です。
今回は、剣洗の露木社長に剣道具クリーニングを始めたきっかけや今後の展望をお聞きしました。
※防具クリーニングはこちら。
プロフィール
有限会社大佛
代表取締役社長 露木 幹也(つゆき・かんや)
平成8年に有限会社大佛を設立。代表取締役に就任。
武蔵野市を中心に「大佛クリーニング」を6店舗展開中。2018年4月には10店舗まで拡大予定。
「剣道人口を増やす」というミッションのもと、剣道具専門クリーニングサービス“武蔵坊剣洗”をスタート。衣料品のクリーニング店で得た知見を、剣道具クリーニングに活かしている。今年中に剣道具専用の洗剤を開発予定。剣道教士七段。
LET’S KENDOのCM
ーLET’S KENDOに出されていた動画広告が、すごく印象的でした!
露木「まずは、覚えてもらうことが大事だと思いました。ふざけすぎているかなと思ったのですが、好評をいただきました(笑)。
子どもたちが真似してくれているみたいで嬉しいですね」
ーあの動画広告で剣洗を知った方も多いと思います。
露木「続編を作っているので、期待いただければ幸いです」
剣道防具クリーニングを始めたきっかけ
ーご経歴を教えていただけますか?
露木「高校を卒業して、陸上自衛隊に入隊しました。20代前半で除隊し、家業のクリーニング店を継ぐことになりました。
24歳くらいまでは剣道を続けていましたが、そこから18年間剣道を休んでいました」
ー剣道を18年間離れてしまった理由はなんだったのでしょうか?
露木「スピードと筋力が剣道の全てだと勘違いしていたことですね。子どもが剣道を始めることになり、 自分も再開してみました。
すると、心の駆け引きがとても面白かったんです。そこから剣道にはまっていきました」
ー“大佛クリーニング“という衣料品のクリーニング店を6店舗展開しておられます。メイン事業は、衣料品のクリーニングでしょうか?
露木「そうですね。来月には10店舗まで拡大する予定なんですよ。剣洗は事業部として、私一人で運営しています。洗うのも、発送するのも全て私一人です」
画像の出所:大佛クリーニングホームページ(http://www.dai929.com/index.html)
ー露木社長お一人で運営されていらっしゃるのですね!それは驚きです。
露木「基本的には私一人ですね。プロモーションも考えなきゃいけないので、大変です(笑)」
ーなぜ、剣道具のクリーニングを始めたのでしょうか?
露木「防具が臭いというのが原因で剣道をやめちゃう人って、少なからず存在すると思うんです。若い頃はモテたいから、特に気になります。そんなことで大事な剣道人口が減っていると思うと、悔しかった。
だったら、洗うことに知見がある私が立ち上がろうと思いました。剣道具を洗うことを文化にしようと思って」
ー大変意義があることだと思います。「剣道具を洗うことを文化にする」とは、どういう意味でしょうか?
露木「以前は、剣道具を洗うという概念がなかったでしょう。それを“洗うのが当たり前”という状況にしたいのです。
清潔な防具ですと、稽古にも身が入るはずです。ご両親にも臭いで嫌がられないでしょう。
剣道再開後、妻から『あんたら、臭いわよ!』と私と息子に指摘が入るようになりました(笑)。
私はクリーニング屋なので、自分なりに試行錯誤して防具を洗い始めたのです」
ー奥様の一言がきっかけだったのですね。
露木「自分と息子の防具を洗っていたのですが、『クリーニング屋なんだから、仕事にしなさい!』 と言われました(笑)。ごもっともだなと思い、知り合いの防具を洗い始めたのです。」
画像の出所:武蔵坊剣洗
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プロのクリーニング師としての、矜持
ー剣道具を洗うことで、痛んだりはしないのでしょうか?
露木「特定の部位を荒くこすったりしない限り、痛むということはないですね。色あせは少なからずしますが。
色あせを軽減、もしくはなくす際にクリーニングで得た知見が活きます。洗剤一つとってもいろんな種類がありますから、配合なども工夫しているのです。素人の方には真似できません」
ー剣道具は洗うことで長持ちするのでしょうか?
露木「毛利先生という、クリーニング業界で高名な先生がいます。その方が靴下で実験をしました。
毎日履き続ける靴下・毎日履いてから洗う靴下、どちらが先に穴があくかという実験です。答えは、毎日履き続ける靴下の方が先に穴があくということでした」
ーそれは、なぜでしょうか?
露木「皮脂や砂ホコリが繊維につきますよね?その汚れのせいで摩擦抵抗が大きくなり、繊維を傷つけてしまうのです。
こまめに洗うほど、汚れが少ない。摩擦抵抗が小さくなります」
ーなるほど。毛利先生のノウハウが、防具クリーニングにも活きているのですね!
露木「活きていますね。いまでもアドバイスをいただいています。藍を色落ちさせないのは、大変難しいのです。
毛利先生にお知恵をお借りしながら、ノウハウを蓄積しております」
ーそれは、他社では真似できないですね。
露木「気になったら、専門家に聞きたくなるんです。武州(埼玉)、遠州(静岡)、阿波藍(徳島)など藍染め工場は全国回りましたね。藍の成分や染めの工程まで、いろいろ勉強するところがあります」
画像の出所:武蔵坊剣洗
ー露木社長は、研究熱心ですよね。
露木「原料は一緒だろうけど、染める場所によって藍染めの色が全然違うじゃないですか。そういったことが不思議でしょうがなかったんです。だから実際に見に行きました。職人さんにはウザがられましたが(笑)」
ー藍染め職人さんと話して、気付いたことはありましたか?
露木「藍を落とさないようにする工夫は存在するようなのですが、必要以上に工程や染料を変えたくないと仰っていました。
私たちも、昔からある武州藍染めをいかに保つかという観点で仕事をしなければならないという気付きを得ることができましたね」
ー素人が防具を洗うと本来の風合いが失われることになりそうですよね。剣道具は、自分で洗わないほうがいいのでしょうか?
露木「そんなことはありませんよ。ただ、洗い方・使用する洗剤については気をつけた方がいいと思います。いま剣道具を洗う専用で、洗剤を開発しているので、いつか一般のお客様にもお届けしたいですね。色落ちなど気になる方には、剣洗でクリーニングにだしていただければ有難いです」
※開発中の剣道防具用洗剤サンプル
今後の展望
露木「剣道具を洗うことを文化にすることですね。剣洗にだしてくれてもいいですし、自分で洗ってもらっても構わないと思っています。剣道具を洗うことを一般化したいという気持ちです。そうして活動が実り、剣道人口を増やすことに貢献できたら、無上の喜びです」
—本日は、ありがとうございました!
BUSHIZOの所感
剣道具を洗うというかたちで、剣道業界に貢献されようと思いは素晴らしいと思います。
剣道具は外に干しておけば問題ないと思っているふしがあったのですが、防具を大切に長く使うには、クリーニングが有用な手段だと認識することができました。
プロのクリーニング師である露木社長自ら洗っていただける剣洗に、一度剣道具クリーニングをお願いしてみてはいかがでしょうか?
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