【剣道】垂の役割・着装時のポイント

2017年9月14日 • お役立ち記事 • Views: 18704

防具にこだわりをもつ方は多いです。面は物見の高さを合わせ最適な視野を確保できるもの、小手は竹刀操作が自在にできるようなフィット感のあるものなどが好まれます。

では、垂はどうでしょうか。垂を購入する際に、「ここだけは譲れない!」というようなこだわりがある方は、案外少ないかもしれません。

しかし、垂には重要な役割があります。

防具の中でも重視されづらい垂についてさまざまな角度から紹介していきます。

 

目次

垂の役割

正しい着け方

着装時のポイント

しまい方

垂の違い

  • 刺し方
  • 刺し幅
  • 飾り
  • へり
  • 角革

サイズの選び方

名札について

まとめ

 

垂の役割

垂には腰や局部を保護する役割があります。有効打突箇所を保護するものではないため、面や胴とは異なり固い材質のものは使われていません。

また、垂には以下のような役割も求められています。

 

・腰への負担を和らげる腹帯部分のフィット感

(あまりにも腰への圧迫が強いと腰を痛めます)

 

・丹田(下腹部)に力を入れられるか

(剣道をする上で重要な丹田に力が入れられるかは重要です)

 

・足さばきの邪魔をしていないか

(大きすぎる垂は、スムーズな足さばきの妨げとなってしまいます)

 

・装着時、垂紐が腹部を圧迫していないか

(蝶々結びをした際に違和感はありませんか?先端に行くほど細くなっている垂紐は、腹部への違和感が少ないのでおすすめです)

 

これらを意識して垂を選べば、体さばきにも変化があるのではないでしょうか。

 

正しい着け方

まず垂を下腹の位置に合わせます。次に腰紐を後ろに回し、袴の腰板のところで交差させ、ずれないようしっかりと締めます。この時腰紐の先端を持つと締めにくいので、できるだけ交差した場所に近い腰付近を持って締めましょう。

絞まり具合が丁度良いと感じるところで腰紐をねじれないように前に持ってきて、大垂を持ち上げ蝶々結びをします。結び終わったら大垂を戻し、飛び出ている腰紐の先端を子垂の内側にしまいます。

 

垂着装時のポイント

上に着けすぎていたりゆるめにつけていたりと、垂の着け方が悪いと一気に着装がだらしなく見えてしまいます。

垂の位置は腰板のところで合わせます。装着後は鏡を見て、腰板を引っ張るなどして微調整を行います。

大切なことは、胴の側面のへりと、大垂の側面のへりが一直線上にあることです。これが一致していないと、側面から見た際のバランスが悪く着装がよく見えません。

垂が大きすぎて腰の方まで回ってしまっている方をたまに見かけますが、バランスが悪いですし使用感もよくないことでしょう。

着装時にこれらのポイントを意識すると、美しいたたずまいになります。

 

垂のしまい方

2通りあります。

簡易な方法ですと、大垂に腰紐を巻きつける方法です。急いでいる時には便利ですし、幼年や小学生のお子さんでもすぐに覚えることができるでしょう。

もう1つは一般的なしまい方です。始めに垂紐を伸ばし、帯止め部分から6㎝くらいの輪ができるよう内側に折り返します。折り返したところから輪を残したまま、垂の下方向へ三角形に折り返します。三角形部分が軸となるように、同じ方向にぐるぐると巻きつけます。

残り約20㎝ぐらいになるまで巻きつけたら、先ほど作った輪を垂本体の方向に折り返し、垂紐の先端を輪に通します。片方が終われば、もう片方も同様の作業をし完成です。

輪の大きさやどの辺りでぐるぐる巻くのを終わらせるかなどは、回数をこなしていく内に自然と自分に合った方法が分かってきます。繰り返し練習してみましょう。

また、垂紐にしわが寄っているとしまいにくいですし着装も悪いです。当て布をしてアイロンし、垂紐のしわをしっかりととってあげましょう。

 

垂の違い

垂を選ぶ際には、以下に挙げる細かな違いにも注目してみましょう。

 

1.刺し方

面・小手・胴にも共通し、手刺しとミシン刺しがあり手刺しの方が高級です。

 

  • 刺し幅

間隔が広くなるほど柔らかく衝撃吸収力が増しますが、重たくなるという欠点も出ます。間隔が狭ければこの反対です。

これらのバランスが上手くとれているものこそ、よいものだと言えるでしょう。

 

飾り

目につきやすいのが段飾りです。大垂・子垂の上部にある段飾りは、見た目の高級感だけではなく垂の強度を上げ、形を整え表側に開きやすくしてくれます。

2段から8段飾りまであり、子ども向けの小さなサイズですと大きさの観点から段数も少ないです。一般用ですと5~6段飾りが多いです。中には「本飾り」という名称がつけられていることもありますが、これは手で飾りをつけたという意味です。

段飾り以外にも、段飾りの下部に当たる「雲型」や、大垂・子垂と帯を結びつける部分の「山路(千鳥糸、蛇腹とも言う)」なども、飾りとして扱われます。

 

4.へり

へりとは、大垂・子垂の縁取りをしてある部分のことを指します。クラリーノ・牛革・鹿革などが使われています。

 

5.角革

大垂・小垂の下部左右の角にあります。擦れて磨耗しないように、補強する役目をしています。

角革はついているタイプとついていないタイプがあります。

 

サイズの選び方

垂のサイズは主に身長・体重・ウエストで判断します。防具屋さんに行けば体に合ったものをアドバイスしてもらえることでしょう。一方で、ネットで購入する場合はサイズ表などを参考にします。販売元によっては、大垂幅・高さ・腹帯幅・腹帯高さの大きさまで表示している場合もあります。すでに自身の垂を持っている方は、比較して参考にしてみるとよいでしょう。

 

名札について

垂に欠かせないのが名札です。正式名称は名札ですが、垂ネームやゼッケンなどの名称の方が一般的になってきました(ただし、全日本剣道連盟では正しい剣道用語である「名札」の使用を推奨しています)。

名札の字体に関しては様々なものがあり個性が出しやすいですが、こちらも全日本剣道連盟では明確に読み取れる字体を使用するよう呼びかけています。

書体規制が出るのでは?という噂が流れたこともありましたが、現在のところそこまでには至っていません。

 

名札に使用される主な字体は以下の通りです。

 

・楷書体

一画一画をつなげずに書く、最も基本的な形です。

 

・行書体

いくらかの続け書きが見られますが楷書体ほどではなく、明確に判読することが可能です。

 

・草書体

字画の省略が大きく行われるため、読むことが難しいです。

 

・隷書体

一字一字が横長になっています。

 

・勘亭流

江戸文字の一種で、歌舞伎の看板や相撲の番付表に使われています。

 

袋の素材も、オーソドックスな藍染から、本革・合皮・人工スエードなどがあります。袋の生地に小桜模様を入れている方を見かけたこともありますし、今は文字の色も白以外に少し色味を入れたものまであります(白ベースに金・銀・緑・紫など)。

組み合わせ方によって名札は実に様々なバリエーションに豊みますが、目立ち過ぎてしまうものはあまり剣道界で受け入れられない傾向があります。剣道は実力があって初めて個性が認められるというところもありますので、何を選べばいいか分からないという方は、まずは基本の1枚を手に入れてみましょう。

 

まとめ

垂について、様々な角度から紹介してみました。

垂を着ける際には、記事で紹介したポイントを意識してみてください。着装がぐんとよくなりますよ。また、これから垂の購入を考えている方は、垂の持つ役割にも注目して購入してみてくださいね。

 

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