【剣道防具クリーニングの基礎知識】防具は洗える時代へ

2017年7月4日 • お役立ち記事, メンテナンス • Views: 14459

剣道=くさいの図式が世間には定着していますが、今や防具は洗える時代です。洗濯機で洗えるタイプの防具も販売されていますが、クリーニングに出すことで防具は驚くほど清潔に、そして快適になります。
今回の記事では防具クリーニングの基礎知識について紹介していきます。

 

剣洗

 

クリーニングの必要性

今は洗濯機で洗濯できるタイプの小手も販売されていますので、自宅で防具を洗っている方も多いでしょう。
確かに安価な防具や、部活動等で毎日使用する磨耗の早い防具でしたら、その方がお金もかかりませんしクリーニング店に防具を送る手間もいりません。

しかし、大切な人からいただいた防具や、高級な防具の洗濯となるとどうでしょうか。まず破損や型崩れが気になり、洗濯機は使用しないでしょう。手洗いするにしても本当に汚れが落ちきるのか、色あせや傷みが発生するのではないか、心配がつきまといます。

大事な防具であれば、それだけ自分で洗うことに対し不安が生じます。しかし、クリーニング店に頼むことでこれらの不安は解消されます。防具の特性を理解した上での洗浄、素材に適した乾燥時間の調整、色あせのある場合には染色のオプションサービスなど、素人では判断が難しい点もプロに任せれば安心です。
大切な防具を清潔に保ち快適に使うためには、時としてクリーニングに出すことも大切です。

クリーニングのメリット

汗自体は本来無臭ですが、それを放置することで皮脂や垢と混じり、雑菌が繁殖し嫌なにおいを発生させます。クリーニングではこの汗による塩分をしっかりと取り除くことができます。塩分を抜いた防具は清潔になり、においもほぼなくなるのはもちろん、布団がやわらかくなり肌触りも変わります。更に蓄積された汗の重さがなくなると、防具はとても軽く感じます。

特に小手は直接肌に触れる部分ですので、手の内のぬめりがなくなるのを実感することができ、装着時の爽快感を味わいやすいです。自宅での洗濯ですと多少のさっぱり感はあるかもしれませんが、ここまでの効果はなかなか実感できません。

清潔にする、においをとるだけがクリーニングだと思われていた方は、良い意味で裏切られることでしょう。防具自体の使用感を向上させ耐久性もあげることができるのが、防具クリーニングの魅力です。

価格

以下に挙げるのは、一般的な防具クリーニングの価格です。

  • 面・・・2千円~5千円
  • 小手(両手)・・・2千円~4千円
  • 胴・・・千5百円程度(扱っているお店が少ないです)
  • 垂れ・・・2千円~4千円

もちろんこちらに挙げた価格より高いお店もあります。価格が上がると汚れを落とすだけではなく、ツヤだしのコーティング加工などもついてくるケースが多いです。

その他にも、ミシン刺しと手刺しで金額が異なる、一式セットだと値引いてくれる、防具袋をサービスで洗ってくれるなど、価格により様々なサービスがあります。

 

剣洗

 

クリーニングに出す前の確認事項

防具をクリーニングに出す前には、予め破損箇所がないか確認しておきます。破損箇所があると受け付けてもらえない可能性があります。防具屋さんが経営しているクリーニング店ですと、クリーニングと一緒に修理を行ってくれるお店もありますので、お願いしてみるのも良いでしょう。特に小手の手の内の革は、クリーニングにより縮む可能性があります。このため修理のタイミングでクリーニングに出すと良いでしょう。

あまりにも状態の悪いものは、革の劣化や素材、仕立ての関係でクリーニングできない可能性もあります。気になる方は持ち込んだり送ったりする前に、一度電話でクリーニング店に相談してみてください。

白い防具を使用されている方も注意が必要です。白い防具はクリーニング後、生地内部の繊維が表面に浮き出てきて、色にムラができる場合があります(特に繊維の色が赤ですと、白地に目立ってしまいます)。通常の藍染をしている防具とは異なり染め直すこともできませんので、対応していないクリーニング店もあります。こちらも心配な方は一度クリーニング店に相談されてみると良いでしょう。

お店の選び方

防具専門のクリーニング店以外にも、今は大手クリーニングチェーン店で防具の扱いがあるお店もあります。ただし注意したいのが、一般のクリーニング店に防具クリーニング専門の職人さんがいるとは限らないことです。

防具は革・金属・綿など、様々な素材が使われ、中には耐水性の弱い素材もあります。それらの素材を長時間水にさらせば、当然傷む原因になります。防具はそれぞれの素材の特性を理解した方が扱わないと、クリーニングに出したことで状態が悪くなる可能性があります。

せっかくクリーニングに出すのでしたら、防具の特性を理解した専門の職人さんのいるお店に任すことをおすすめします。

クリーニングの流れ

防具クリーニングの基本的な流れについて紹介します。

  • 状態確認
    汚れがひどい箇所はどこか、破損しているところはないか、それぞれの防具の状態を見極め、クリーニングできるかどうか判断します。あまりにも状態が悪いとこの時点で断られてしまうケースもあります。

 

  • 洗浄
    マイクロバブル洗浄を取り入れ汚れを隅々まで落とすなど、洗浄の種類は様々です。
    女性ですと面の内側にファンデーションがついてしまい、そこからカビが生えるということもありますが、化粧品などの成分を分解できる洗剤もあります。
    クリーニング店の洗浄は防具にダメージを与えず、且つきれいになるよう工夫がこらされています。

 

  • 乾燥
    早すぎる乾燥は防具を固くしてしまいますし、遅すぎるとカビが生える原因となります。この絶妙な時間をコントロールするのも職人さんの腕の見せ所です。遠赤外線乾燥機を使うなど、防具の芯から乾かす方法もあります。

 

  • 抗菌
    抗菌機能のある液に浸したり、コーティング剤を使用したりすることで、防具を長く清潔に保つことができます。仕上げ段階ではなく、洗浄中に抗菌処理を施すこともあります。
    抗菌処理を行う場合は再び乾燥させ、クリーニングは終了となります。

 

お店により細部の作業工程は異なりますが、基本的にはこのような流れで防具はきれいになります。

 

オプション


染名人 防具専用藍染復元液(2,376円税込)
防具専用藍染復元液です。紺革・木綿ともにきれいに染まります。
 

クリーニング後、色あせがあった場合にはオプションで染め直しをしてくれるお店が多いです。染め直しをお願いする場合には、藍を吹き付ける簡単な補修なのか、きちんと浸け込んで染色するのか、予め確認しておくと良いでしょう。

簡単な補修の場合は染色力が弱いこともありますし、逆に浸け込んで染色する場合は刺繍等すべて染まってしまうので注意が必要です。大体は最後に色止め加工をしてくれるので、今後の色あせを防ぐことができます。

クリーニングの効果に不安を感じる方は、保障のついているクリーニング店を選ぶと良いでしょう。においが残っている・汚れが落ちていない、そんな時に保障のあるクリーニング店ですと、無料で再クリーニングを受けることもできます。

 

まとめ

防具はクリーニングすることで清潔になるだけではなく、耐久性も上がり、より身体に馴染むようになります。においの軽減に加え今後防具と長くつき合っていくためにも、ぜひ一度クリーニングを試されてみてはいかがでしょうか。

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