藍染めとは?

2017年7月17日 • お役立ち記事 • Views: 5568

藍(アイ)とは

藍染めの原料は、アイと名のつくさまざまな植物です。古来より多くの効能を持つ薬草として珍重されてきました。日本においても染めの原料としてだけでなく、薬草として肌に塗ったりと様々な用いられ方をしてきました。

日本における藍の歴史

奈良時代に中国から朝鮮半島を経て伝来しました。(諸説あります)
正倉院の宝物の中には、藍染めされた布や糸がいくつも納められています。それらは、その技法やデザインから、中国やインド、当時ペルシャと呼ばれていた国々から運ばれたものと推測されます。藍染めというと、日本の伝統文化のように感じてしまいますが、日本より早く藍染めをしていた国がたくさんあったようです。

藍の効果効能

藍で染めた肌着は、昔から冷え性や肌荒れなどに効果があるといわれます。
防虫効果も高く、江戸時代の古布も藍で染まった場所だけ虫食いが無かったといわれます。“藍染の下着や靴下は臭くならない”というのも実感されている方は多いようです。
  そもそも草木からとった染料は、布を染めるという以前から、病気に効く薬として効果効能を追求したものです。
太古の儀礼や儀式においては、色そのものに効果が期待されたものでした。現在でも利用されていることを考えれば、実際に効果を実感できたということだと思います。逆に言えば、漢方、生薬と呼ばれるものの大半は、染料としても使えるという側面を持っています。

近年の研究でわかった万能性

2009年の徳島大学の論文では、トリプランスリンには、「抗アレルギー作用だけでなく、発ガン抑制作用、そして抗ピロリ菌作用もある」と記載されています。藍が万能薬になるのではないかとすら感じさせてくれます。
アトピー性皮膚炎をお持ちの方は、天然藍で染められた服を身につけたり、天然藍のエキスを体に付けたりすることで、アトピー性皮膚炎を軽減できると言われています。
皮膚のアレルギーに悩んでいらっしゃる方がいたら、天然藍で染められた服を着てみたり、天然藍成分を使用した石鹸などを使ってみると、好転するかもしれません。少なくとも皮膚への刺激が少なく、皮膚炎の抑制効果はあると考えられます。
そもそもアトピーなどのアレルギーは、太古の昔はいまほど患者は多くなかったといわれています。食べもの、着るもの、肌につけるもの等を天然成分のものだけにすれば、よい反応があるかもしれません。
ちなみに私は以前アトピー性皮膚炎で悩まされていましたが、シャワーの水を脱塩素機能があるシャワーヘッドに変えたところ症状が劇的に改善しました。人それぞれどのアレルゲンに反応しているかは異なりますが、一つ一つ原因になりそうなものをつぶしていけば、症状改善の糸口が掴めると思います。

勝利を呼ぶ、縁起の勝色

縁起を担ぐというと、蜻蛉(とんぼ)も勝ち虫として重宝されていました。侍は常に死と隣り合わせであったため、縁起を担いで死の恐怖を和らげようとしていたのでしょう。
勝色と書いて「かちいろ」または「かついろ」と呼ばれた深い藍染めの色は、鎌倉時代の武士に愛されたことで知られています。重厚で力強い色こそが「戦に勝つ縁起の良い色」とされていたためです。
本来鎧の製作に使用したり、鎧の下には藍染めの衣類を着用したりするのが常で、野宿、夜営に必要不可欠なものでした。藍色はカチ色と言われるため、昔の武将は褐色⇒勝ち色と縁起をかついで兜の緒を藍で染めた色を使用していました。

剣道衣で人気の武州藍染め

「四里の道は長かった。その間に青縞の市のたつ羽生の町があった」
これは明治の文豪、田山花袋の名作「田舎教師」の冒頭の一説です。武州特産の青縞は羽生にとって代表的な地場産業で、この染め上げられた青縞は武州藍として全国に知られていました。

青縞とは

青縞は、江戸時代後期 (天明年間)に騎西周辺の農家の副業として始まった藍染めの綿織物です。剣道衣の実に8割が武州藍といわれています。
青縞の生産は、北埼玉地方の羽生、加須、行田が中心で、野良着をはじめ、足袋の表地などにも用いられてきました。明治時代、羽生市だけでも100軒以上の紺屋があったそうです。

まとめ

消臭、防虫、薬草としての機能をもっている藍。近年の研究では、発ガン抑制・抗ピロリ菌の作用があると認められていますが、まさに万能と言ってもよいと思います。
剣道に携わっている方々以外にも、藍の素晴らしさを伝えていきたいと思います。

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