剣道やってる時はパンツを履かないのは当たり前。ほとんどの方がそう思われているのではないでしょうか。なぜパンツを履かないのかというと「動きづらいから」の一言に尽きます。
今回の記事では、剣道の一流選手が剣道中に履いても気にならない「包帯パンツ」をご紹介します。なぜ、稽古時に履いても気にならない画期的なパンツを開発することができたのか。ログイン株式会社・野木社長にお話を伺いました!
野木志郎(のぎ・しろう)
2002年日韓共催W杯の稲本選手のゴールを見て感動し、日の丸を背負うアスリートのためのアンダーウエアを開発する事を決意。父親の経営する縫製会社に転職し、4年かけ「包帯パンツ」の原型を開発。
2006年ログイン(株)を設立。2007年に「包帯パンツ」を、2008年に「甲冑パンツ」を発売し、話題沸騰。 愛用者には日本を代表するアスリートをはじめ、多くの著名人を持つ。
インタビュー・執筆:BUSHIZO 上島
撮影:BUSHIZO 工藤
野木社長ご経歴
野木「通販カタログ『ベルメゾン』などで有名な千趣会という会社でバイヤーをしていました。40歳を越えたあたりで父が経営している会社から『助けてほしい』とラブコールをうけ、その会社に入社することになりました。父の会社は大手女性下着メーカーの下請け会社です」
ーそこから包帯パンツにつながっていくのですね。
野木「女性物の下着を1日中作っていても、男性の自分には実感がわきません。そんな時、千趣会の餞別でワールドカップのチケットをもらいました。
たまたま見に行ったワールドカップで、人生で1番印象深い出来事が起こりました。ロシア戦だったのですが、稲本選手のゴールを見て本当に感動しました。その時に『世界で活躍するアスリートのためのパンツを作ってみたい』と思いました。そこからはメンズのスポーツアンダーウェアの事ばかりを考えて生活していましたね」
ーそこからどのように「包帯パンツ」の着想を得たのでしょうか?
野木「パンツについては素人でしたので、世界中のパンツを千枚以上は履きました。正直どれを履いても素晴らしいパンツだと思ったのですが、スポーツをするときに限ってはどれも不快なパンツに思えました。汗でまとわりつくし、締め付けがきつい。ベタベタして動きづらい。不快な部分がたくさんありました。
不快な部分を一つずつ潰していって、納得できるものが完成するまでに約4年の年月がかかりました。そして2006年に会社を設立しました」
ー苦節4年はすごいですね…。相当こだわって作られたのだと推察します。ちなみに、お父様の会社で事業立ち上げをするかたちをとらなかったのですね。
野木「もちろん父の会社で包帯パンツを販売する選択肢もあったのですが、父の会社はOEM専門のメーカーでしたのでリスクをとる体質ではありません。自分でやるしかないなと腹を決めて独立したのです」
※HOHTAI BELT (ホウタイ ベルト) グレー
苦節4年。ようやく完成したアスリートのための「包帯パンツ」
野木「綿素材は汗を吸います。汗を吸うということは重くなるし、まとわりつくということです。合成繊維は汗を吸いません。ただ、まとわりつくのです。
編み組織を工夫することで、汗を吸ってもまとわりつかないようにしたのが包帯パンツです。
私はテニスをやっていたのですが、クロスボールが来たときにパンツがまとわりついて足を開くことができないことが本当にストレスでした。そういった動きづらさが包帯パンツには全くありません」
ー剣道では、足を開く機会が多いです。汗もたくさんかきます。
野木「そうですか。汗をかくということは、汗冷えしますよね。そういった汗をかく競技の選手は包帯パンツを愛用いただいています。プロ野球ですと、特にピッチャーの方に愛用者が多いですね」
ー地稽古の待ち時間など、汗冷えしてしまいます。
野木「包帯パンツは綿素材と化学繊維がミックスされています。綿素材で汗を吸収して、化学素材で拡散するというのを繰り返します。なので、ベタつかないんですね。特許をとって特殊な加工方法ですので」
ー拡散するという表現について、もう少し詳しく教えていただけますか?
野木「汗の粒子をバラしていくということですね。バラされた粒子は綿素材部分に吸収されていくので常にサラサラの状態になります」
ー包帯パンツって、素材が包帯ということなのですか?
野木「普通の包帯は「スフ」という最下級のものです。包帯パンツは、高級の綿、高級のポリエステル・ポリウレタンで作っています。編み組織が包帯なので包帯パンツと命名しました。ラッセル機という、昔から包帯を作っている機械で包帯パンツを作っていますよ」
ーどういったアスリートが包帯パンツを履いているのでしょうか?
野木「現在は17競技のプロ選手が履いてくれてます。剣道でも警視庁を退官された浅野先生や、筑波大学の香田先生、北海道道警の栄花先生が履いてくださっていました。栄花先生は当時稽古の時にも履いてくださってましたね。少し前のことですので、今は分かりませんが」
ーゴムなしパンツを普段履きしているのですが、剣道の時でも履けるでしょうか?
野木「ゴムなしは運動時にはあまり適していないと思います。運動時は締め付けが多少あるゴム付きのものがよいです。運動終了後はシャワーを浴びて「副交感神経」に切り替えてリラックスしたほうがよい。ずっと「交感神経」のままだと疲れがとれないのです。運動終了後にゴムなしパンツを履いていただけると締め付けがないのでスムーズに「副交感神経」に変わってよいかと思います。
体操日本代表やハンドボール日本代表の選手はありがたいことに、多くの選手が弊社の「包帯パンツ」を着用いただいておりますが、運動終了後はゴムなしパンツに着替えてマッサージを受けておられます」
交感神経は「闘争あるいは逃走の神経」ともたとえられ、日中に優位に活動する緊張モードの神経である。
一方、副交感神経は「休息の神経」ともいわれ、夜間に優位に活動するリラックスモードの神経である。この2つの神経は、どちらか一方が活動すると、もう一方は抑制されることによってバランスを取っている。
※出典:https://sleepdays.jp/articles/210
剣道をやっている方へのメッセージ
BUSHIZOの所感
安全性や清潔面の観点からも剣道中にパンツを履いた方が良いのは自明ですが、動作を阻害するというデメリットが大きく感じられていたのだと思います。
今回「包帯パンツ」を見たときに「これなら剣道でもはけるのではないか」と思い自分で試したところ、剣道中にパンツを履いていることを一切気にしなくても剣道ができました!包帯パンツを履くことで、間違いなく今より快適な稽古ができるようになります。SIDOというブランドのコンセプトが道を極める方を応援することですので、野木社長が動画で仰っていたとおり「ぜひいっぺん履いてみて!」と心から願います!
野木社長、本日はありがとうございました!