高橋健太郎スタイル 剣道のための体づくり
今回も前回に引き続き、剣道日本代表トレーニングコーチ高橋健太郎先生に、剣道に必要なトレーニングとは何かを教えていただきます。第10回目となる今回は、竹刀を使った運動についてです。
両手で竹刀を構え、手首の回転だけで竹刀を振る
高橋「じゃあまず、実践的な素振りというか、一人でできるものとして、まず手首を使った素振りですね。構えていて手首で回す。こう、面。面。そうそう」
──これは動かなくていいんですか?
高橋「動かなくてもいいし、動いてもらってもいいですし、これはもう場所とかにもよるかと思うんですけれども。これ、実際に竹刀でなくてもいいと思うんですよね、もう少し短いものでも構わないと思うので、基本的には手の内と手首の使い方のトレーニングのひとつだと思ってもらえればいいです」
高橋「まあ実際に竹刀を使ってやってみましょう。くるっと。はい。こんな感じです。で、これに足をつけてやってみましょう。普通に。前後でいい。はい」
高橋「注意点としては、竹刀を回すときに、左手の小指が離れてしまって緩くならないように、しっかりと。左手の小指まで握ってもらって、俗に言う竹刀の握りをしてもらえればいいかと思います。もう一度やりましょう。はい、オッケーです」
高橋「次は、刃筋をしっかりと意識しながら、バランスよく左右の力を入れてもらうものです。力が入りすぎると、振り上げてから振り下ろしてくるときに、剣先がぶれてしまう。ぶれないようにゆっくり、すーっと下ろしてくる。身体のバランスと筋力のバランスを整えてもらうトレーニングとなります」
高橋「では振りかぶって。ゆっくり振りかぶって、ゆっくり下ろしていきます。すーと。まだもっともっと下まで」
高橋「はい、もう一回。上げて。ゆっくり。はい。もう一回いきましょう。はい振り上げる、下から。大きく上げて、大きく下げる。そこからゆっくり。はい、上げる。はい、下ろす。もう一回いきましょう。はいじゃあラスト。手首はあまり動かさないで。手首はそのまま」
──振らなくていいんですか?
高橋「はい。振らなくていいです。これはもうバランスなので、どうしても右手や左手に力が入ってしまうと、竹刀先端がどうしても揺れてしままいます。それを揺れないようにするというのが、左右の筋肉のバランスをつけるということですね」
高橋「これは、手の内の素振りというかトレーニングとなるんですけれども、相手の剣先でも何でもいいですが、何か目標物に対して、その周りをなるべく速く触らないで回します。これはいろんなトップ選手とかが、よく自分たちのトレーニングの一つとしてやられています」
高橋「10回でいいので、絶対に触らないでなるべく速くまわします。じゃあいきます。1、2…10。はい、オッケー」
高橋「今度は逆回し。いち、に、10。あ、触ったね。はい。絶対に触らないでなるべく速く。今は剣先を見ていると思うのですが、出来るようになってきたら剣先を見ないで、相手の目を見て遠山の目付けで、身体全体を見ながら回してください。1、2…10。はい、オッケーです」
高橋「今は剣先を見ていたので、剣先を見ないで相手の目を見て。はいはじめ。1、2…10。1、2…10」
高橋「はい。絶対あたっちゃ行けないわけではないのですけれども、手首の使い方というか細かい竹刀操作をするトレーニングです。これはだんだん応用も出来て、動きながらですね。相手が動いてくるのに対して自分も動くというようなのとか、なにか動いているモノに対してというのが応用的になってくるかとなってきます」
高橋「前後ろ、前後ろ、のように、例えば前後で動きながら、前後ろ前後ろで、はい回す。はいはじめ。1、2…10。となると、今度は足と手という、上半身と下半身のお互いの協応動作でうまくバランスが取れるようにというトレーニングにもなります」
高橋「これは右手で回してください。左手は中心から外れないというのが基本ですね。ただどうしても回ってしまうことはあるんですけれども、イメージとしては右手で回していく、左手は中心に常に置いて、右で回すというイメージがいいかと思います。右手を支点にして回すのでなく、あくまで左手が中心になって回していくというのがいいかと思います」
今回は、竹刀を使った運動について解説していただきました。
竹刀を使った運動というと、前進後退素振りや跳躍素振りなどをイメージするかと思いますが、今回教えていただいたようなものもあるんですね。竹刀操作は、何となく速くしなければと思いがちですが、揺れないようにゆっくりと行なうことも訓練になるんだと、とても参考になりました。家でテレビを見たりしながら行なうなど、日常的に取り組むとよさそうですね。
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