【剣道日本に逆取材!】 安藤編集長 インタビュー 前編

2017年11月2日 • インタビュー, 編集者 • Views: 6317

剣道雑誌『剣道日本』の編集長に逆取材。編集長の剣道歴やこれまでの仕事で印象に残ったことについてインタビューさせていただきました。

安藤雄一郎(あんどうゆういちろう)

1970年12月、東京都生まれ。都立国分寺高校から法政大学へ進学。大学を卒業した1993年、スキージャーナル(株)に入社し『剣道日本』編集部に所属。2015年から第七代編集長に就任。



安藤編集長の剣歴

—剣道はいつから始められたのでしょうか?
安藤「私は小学校から剣道を始めたのですが、『なにがなんでも勝ちたい!』と思えた大会は一つくらいしかなかったですね」

 

—負けん気が強いタイプではなかったのですか?
安藤「そうかもしれません。宮崎正裕先生は全日本選手権で6回も優勝していますが、私には想像もつきません(笑)。お話しすると柔和な方ですが、モチベーションの保ち方・勝負に対する考え方が常人とは違うと感じます。そういったエッセンスを読者の方々にお伝えしていきたいと思って仕事をしています」

 

—お仕事のやりがいはどういった部分にありますか?
安藤「インタビュー相手から刺激を受けることですね。最近の学生に話を聞くと、本当に頭が下がる思いがしますね。私もしっかりしないといけないと襟を正してしまいます。大会に取材に行くと、なんらかのドラマが起こるので、その場に立ち会えるということは貴重な機会であり、やりがいとも言えます」

 

—いつから剣道雑誌の編集に携わりたいと考え始めたのですか?
安藤「恥ずかしながら、私は販売部の応募の告知を見て面接を受けに行ったのです。面接時、ちょうど剣道日本の編集者が足りない時期だったので『剣道経験があるなら、剣道日本という雑誌の編集を手伝ってみないか』と言われました」

 

—導かれるように剣道日本の編集に携わることになられたのですね!
安藤「本当に運命といいますか…。いまの編集メンバーは厳正な試験を通過して入社しているので、申し訳ない気がしますね(笑)」
 

後発としての剣道日本

 

—剣道日本の成り立ちを教えていただけますか。
安藤「剣道日本は1976年に創刊されましたが、後発の雑誌なのはご存知でしょうか。二松学舎大学剣道部OB、滝泰造が創刊に尽力しました。すでに剣道時代さんという先駆者がいらっしゃいましたので、剣道雑誌を刊行するならば趣向を凝らして刊行すべきという思いがあったようです。具体的に言いますと、当時の警視庁主席師範、小沼宏至(おぬまひろし)先生にアドバイザーとして関わっていただきました。小沼先生のおかげで、当時の中央大学師範の中倉清先生・落語家の柳家小さん師匠といったビッグネームに連載をもっていただくことができました」

 

—錚々たるビッグネームですね。小さん師匠とは、5代目の柳家小さん師匠ですね。
安藤「落語より剣道が好きという師匠だったようです(笑)。小さん師匠をホストにして、当時剣道界の重鎮とよばれていた方々と対談していただきました。当時から小さん師匠は多忙でしたので、よく快諾いただけたなと思いますね。落語家としては初の人間国宝になられた方ですので」

 

—キャスティングに成功して、大衆に支持されたのですね。企画も素晴らしかったのだと思います。
安藤「日本剣道形を毎月連載しました。モデルは警視庁の阿部三郎範士・森島健男範士。監修は重岡 曻範士という、超豪華なメンバーで誌上演武を実施しました。こちらの企画も大変な反響があったようです。小沼先生のお口添えがあって実現できたことです。創刊メンバーには大変な苦労があったと思います」

 

創刊時のお話しは貴重ですね。現在、取材の企画に苦慮することはありますか?
安藤「ファッション誌に比べれば、そんなことはないと思います。人によって技も違いますので。ただ、以前に比べて個性的な技をお持ちの方を探すのは難しいように思います。例えば、国士舘大学の馬場欽司先生はユニークな剣道観をお持ちで実力も十分です。馬場先生のような方にもっと取材していきたいと思いはありますね」

 

—いまはどのような企画が人気なのですか。
安藤「技の打ち方などのHow to系の記事というのは、やはり人気がありますね。『剣道が強くなりたい』と思って購読してくださっている方々は多いと思います」

 

—最近では、『剣道男子 時々 剣道女子』といったライトなコンテンツも拡充されていらっしゃいますよね。
安藤「細かいところまで読んでいただきありがとうございます(笑)。ただ、取材対象に苦労することはありますね。発案者は私ではないのですが、かなりの反響がありますね」


スキージャーナル社としての取り組み

—御社では雑誌以外に、どのような事業があるのでしょうか?
安藤「剣道ナビ(http://kendo-n.jp/)という携帯サイトを運営しております。また、剣道日本WEB(https://www.skijournal.co.jp/kendo/)というWEBサイトも運営しております。どちらもこれから大きく育てていきたいと思っていますが、現状雑誌の売上が大きいです」

 

—安藤編集長の中で、特に印象深い大会はありますか?
安藤「一つに決めることは難しいのですが…。敢えてあげるとすると2006年に台湾で開催された世界選手権でしょうか。私が世界選手権を取材に行くことはあまりないのですが、たまたま取材に行っておりました。他国の取材もあり、準々決勝まで日本代表の試合を取材することはできず、準決勝から日本代表の取材となりました。アドバイザーとして京都府警の高橋英明先生と台湾に行っていたのですが、準決勝前の高橋先生の一言がいまも忘れられません」

 

—どんな一言だったのでしょうか?
安藤「『攻め口が雑になっている。打ち急いでいるのが、嫌な方向にいかなければよいが…』と懸念されていました。
そのあと日本代表はアメリカ代表に負けてしまったのですが、準決勝前に聞いていたので、鳥肌が立ちました。日本のトップレベルにいる方の目はとてつもないと驚嘆したのです。もちろん日本代表の調子が悪かったというわけではなく、アメリカ代表は実力があり、勢いもありました。アメリカ代表のクリストファー・ヤング選手がカナダ代表のマシュー・レイモンド選手に勝利して、チーム全体が勢いにのっていましたので」

 

—安藤編集長しか聞き得ない、貴重なお話しですね。今後、剣道日本をどんな雑誌にしていかれたいですか?
安藤「創刊当時からの読者もいれば、初めて読んだという方もおり、読者層もまちまち。あらゆる読者層にお応えするためになにをすればいいのか、逡巡する日々です。間違いなく言えることは、商業誌として利益を出していくということですね。つまり、利益が上がらなければダメです。利益が減少している現状をどう打破すべきかが課題です。それと、剣道には他の運動とは違う魅力があり、それを伝えたい一心です」

 

—伝統ある剣道日本様、創刊時のお話しなど大変貴重なインタビューとなりました。後編では、編集部員の方々の『思い出に残った取材』を掲載します。

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剣道を愛するすべての人に“をテーマとした老舗の剣道雑誌。昭和51年に創刊され、剣道の情報を伝えるメディアとして、多くの方々に愛されています。剣道の入口に立ったばかりの方から、さらに剣道の深奥に踏み入ろうとする人にも応えられる雑誌です。BUSHIZOからも多くの記事を提供中。

インターネットや全国書店で取扱中ですが、おすすめは発売日にお手元に届く定期購読。発売日に読めるだけではなく、最大で5%OFFの特典も。さらに、紙+デジタルの定期購読プランでは、1冊あたり860円で紙版も、デジタル版もご利用いただけます

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