剣道防具の手入れの仕方、徹底解説!剣道家を悩ます臭い問題もこれで解決

2019年2月8日 • お役立ち記事, メンテナンス • Views: 87516

そう簡単に洗うことのできない剣道の防具達。

剣道をなさっている皆さんは、防具をどのようにお手入れされていますか?

決して安い買い物ではない防具ですから、大切に取り扱って長持ちさせたいですね。

この記事では、防具のお手入れの仕方から、剣道をする人なら誰もが悩まされている臭いについての対策までまとめていきます。

目次

防具のお手入れの基本

普段のお手入れ

面のお手入れ方法

小手のお手入れ

胴のお手入れ

垂のお手入れ

水洗いするとき

専門業者に洗ってもらう

実は、お手入れは使う前から始まっている

防具のメンテナンス

各防具のチェックポイント

  

  小手

  

  

 




防具のお手入れの基本

使ったらすぐ拭く

稽古などで防具を用いた後、次に使う時まで防具袋に入れたままにしてはいませんか?汗などで濡れたままにしておくと、悪臭やカビ、さびの元になります。防具を使った後は、清潔な手拭いなどできれいに拭いておきましょう。

 

陰干しをして、乾燥させる

いくら乾燥させると言っても、直射日光に当てるのはよくありません。防具のいろいろなところには生革が使われています。それらを直射日光に当ててしまうと、硬くなり、摩擦などで切れやすくなってしまいます。干す時は、風通しの良いところで陰干しするようにしましょう。

 

消臭剤をかけておく

剣道といえば、いくら丁寧にお手入れをしていても、どうしても避けられないのが臭い問題です。どうしようもないほど臭ってしまう前に、こまめに対策するようにしましょう。きれいに拭いたあと、消臭剤をかけておけば、かなり臭いは少なくなります。その際、市販の消臭剤ですと、いろいろな化学物質が含まれており、変色などにつながる恐れがありますし、消臭剤の匂いと小手の臭いがミックスして、えもいわれぬ匂いを発してしまうことも。その点、剣道用の消臭剤なら、天然由来成分で作られているので安心ですし、除菌・防菌効果もあったりするので、とても優れものです。

 

防具を休ませる

靴などもそうですが、一つのものを使い続けていると、その分傷むのがはやくなってしまいますよね。防具はきちんと休ませながら使うことが長持ちの秘訣です。二組の防具を交互に休ませながら使うことができれば、どちらも長持ちするでしょう。そうそう安い買い物ではありませんから、二つも防具を揃えるのは難しいという方は、せめて小手だけでも二組用意できるといいのではないのでしょうか。

 

修理は早めに

このくらいならまだ大丈夫、と、壊れたままの防具を使うと、思わぬ怪我や事故につながる恐れがあります。また、少しの破損のうちに対処すれば、修理程度で済むものも、激しく壊れてからではもはや買い換えるしか手立てがなくなることも。特に、小手はできてしまった穴がまだ小さいうちに修理した方がいいでしょう。


普段のお手入れ

面のお手入れ方法

① すぐに拭き取り陰干し

面は、使用後すぐに手ぬぐいなどで内輪や面金の汗を充分に拭き取り、陰干しし ましょう。汗がついたままになっていると、面金に傷がついている場合、ものによってはそこから錆びてしまうこともあります。また、直射日光を当てないようにしましょう。藍染めの藍も革も、日光に弱く、傷みを早めてしまいます。

 

② 特に汚れているところ

特に汚れているところは、歯ブラシなどで軽くこすり、固く絞った手拭いなどで丁寧に拭き取ります。汗が乾いて塩をふいてしまうことがあるかと思いますが、そんな時は、まず霧吹きで塩がふいている周辺までしっかり濡らし、それから拭き取った方がいいでしょう。塩の部分だけを拭き取ると、そこだけ藍染めが落ちてしまう可能性があります。

 

③ 風通しの良いところで保管する

次に使うときまでは、風通しの良いところで保管するようにすると、カビ等を防ぐことができます。

 

小手のお手入れ

① すぐに拭き取り陰干し

手の内の革をしっかりと伸ばした後、外側だけでなく内側まで、かたく絞った手拭いなどで、汗などをしっかり拭き取ります。面と同様、干すときには、直射日光には当てず、陰干しするようにしましょう。

 

② 臭い対策はこまめに

特に小手は、放置しておくと、とても強烈な臭いを放つようになってしまいます。きれいに拭いた後には、消臭剤をかけてこまめに臭い対策を行なっておくとよいでしょう。

 

胴のお手入れ

① すぐにから拭きし、油で保護

他の防具に比べれば、あまり汗を吸い込まない胴ですので、使用後にから拭きをしておくくらいでよいでしょう。胴胸がパサパサになっているような時は、柔らかい布などでミンクオイルをつけてあげると、つやが復活します。その際には、オイルのつけ過ぎに注意してください。シミになったり、カビの原因になったりしてしまいます。

 

② 傷が気になるとき

胴についてしまった傷が気になる場合は、柔らかい布などで、胴台保護油をつけてあげると、光沢がよみがえります。よく、研磨剤で磨くと書かれていることがありますが、少しとはいえ結局は、表面の漆を削っていることになるので、できれば避けたほうがよいでしょう。

垂のお手入れ

① すぐに拭き取り、陰干し

面や小手の汚れのほうが注目されやすいですが、防具の洗濯業者さんによれば、一番汚れが出るのが垂らしいです。特に、腰周りの汗汚れが激しいので、使用後は濡らした手拭いなどでよく汗を拭き取り、陰干ししましょう。

② 垂ひもにはアイロンを

何回も垂ひもを結んだりほどいたりしているうちに、だんだんひもがよじれてしまいますよね。そうやってよじれたまま使用していると、その部分がこすれて切れやすくなってしまいます。アイロンをかけて伸ばしておくと、長持ちします。




水洗いするとき

時には、思いっきり水洗いしてさっぱりしたいですよね。

ですが、そのままジャブジャブ水洗いするのは、ちょっと待って。注意しなくてはいけないポイントがいくつかあります。

水の温度に注意

雑菌の消毒に、と熱湯で洗いたくなるかもしれませんが、革は熱に大変弱く、熱を加えると縮んで、切れたりしてしまいます。洗うときには、ぬるま湯を用いるようにしましょう。

 

革を水につけない

防具には、あちこち生革が用いられています。革は水につけると、乾かした時に縮んでしまうので、防具を水洗いするとしても、革の部分は水につけないようにしなければなりません。その点、垂はあまり難しい材料が使われていませんので、洗いやすいかもしれません。

 

乾燥する際、熱を加えない

洗濯後は、直射日光には当てず、風通しのよいところで陰干しします。なかなか乾かないので、乾燥機やドライヤーなどで一気に乾かしたくなるかもしれませんが、上記の通り、革に熱を加えると縮んでしまいます。乾燥を早めたいときには、短時間ならドライヤーなどの送風機能で、熱くない風を当ててあげるとよいでしょう。

 

洗濯機を使用するのは自己責任で

洗濯機で洗えれば簡単、と思われるかもしれませんが、防具は基本藍染めですし、いろいろなところに生革が使われていますので、洗濯機の中が藍色になったり、洗濯の際の衝撃などで皮が切れてしまったりすることも考えられます。壊れてしまうこともあるという覚悟で、自己責任の上で行なうようにしてください。

専門業者に洗ってもらう

いっそのこと、プロに任せるという考え方もありますよね。防具をきれいに洗ってくれる防具専門のクリーニングの業者もたくさんありますので、一度試してみてもいいかもしれません。

 

実は、お手入れは使う前から始まっている

そもそもあまり汚れをつけなければ、洗う手間も少なくなりますよね。小手下手袋や顎汗取りなどを着用することで、汗や皮脂が防具につくのを少なくすることができます。特に、女性の方におすすめなのは、面インナー。面の内輪にファンデーションなどがつくのを防ぎます。

防具のメンテナンス

チェックは稽古の後に

せっかく一生懸命稽古して試合や審査に臨んだのに、「面ひもが切れてしまった」というアクシデントに見舞われて残念な結果になったら悲しいですよね。そんなことがないように、日頃から防具のメンテナンスは充分にしておきましょう。そのタイミングはもちろん、稽古の後、次回の稽古までです。稽古の直前に気がついても間に合わないですから。

各防具のチェックポイント

・面ひも、面乳革がきれかかっていないか

・面金のかしめや物見がゆるんでいないか

・面縁の革が傷んでいないか

・止め革が切れかかっていないか

・内輪や天地がずれたり傷んだりしていないか

 

ひもや革の交換は自分でもできるかもしれませんが、それ以上は防具屋さんで修理が必要となります。

 

小手

・小手ひもが切れかかっていたり、ずれたりしていないか

・手の内の革が破れたり、穴が開いたりしていないか

・手の甲や親指のほうの革が破れたり、穴が開いたりしていないか

 

小手は穴が開きやすいですが、穴が小さなうちに補修しておけば、比較的簡単に修理することができます。あまりに大きな穴になると、修理も大変になりますし、場合によっては試合に出られなくなることもあるようですので、早め早めの対応をとるようにしましょう。

 

・胴ひもがきれかかっていないか

・胸乳革や胴乳革が切れかかっていないか

・垂ひもの途中や付け根が切れかかっていないか

・大垂、小垂、前帯の止め革が切れかかっていないか

 

どの防具でも、ひもや乳革は自分でも交換できるかと思いますが、それ以上の不具合は防具屋さんで修理しなくてはならないでしょう。

不具合が生じてからではなく、そうなる前に時々防具屋さんにいって、防具の調子を見てもらうのもいいでしょう。そのためにも、何でも相談できるなじみの防具屋さんを身近に一軒持っておくといいかもしれませんね。




一流は道具を大切にする

※画像の出所 全日本剣道連盟

剣道界のレジェンドとも言われる内村良一選手は、防具の取り扱いが大変丁寧で有名です。あのイチロー選手も、「一流はみんな道具を大切にする。道具を粗末に扱う人は一流になれない。」と言っています。

また、道具を大切にする選手は、現役生活が長いという説もあったりしますよね。

剣道が強くなるために、また、長く剣道を続けていくためにも、防具を大切にする習慣はつけていきたいですね。

 

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