剣道面縁の修繕方法
剣道防具専門クリーニング 武蔵坊「剣洗」の露木 幹也社長にお話をお伺いするシリーズの第7回目です。
前回、剣道面の手入れ法についてお伺いしましたが、今回は引き続き面縁の修繕方法を教えていただきました。
面縁修繕
露木 あ、塗ってるところを見れるかもしれないです。
──塗る?
露木 あ、ここの縁をです。縁塗りです。
──何を塗るんですか?
露木 カシューです。ほんとは漆なんでしょうけど、いまはみんなカシューかな。
──カシューってなんですか?
露木 カシューナッツのカシューだと思いますよ。それの油です。これを面がねの縁に塗ります。赤いのは内側に。黒いところは黒いカシューで。
──洗った後に、こちらで塗る理由はなんですか?
露木 メニューの1つです。染めるのと一緒のバリエーションの1つで縁も塗ってあげるんです。オプションで。
先ほど言いましたけど、剥げていたりすると、水分が入り込んで傷む原因になるんですよね、一番。縁って意外としっかりしておいた方が長持ちすると思います。
──定期的に塗った方がいいですか?
露木 そうですね。塗った方がいいです。ちょこっと剥げている場合はいいんでしょうけど、あんまり白くなっちゃってるくらいだとカシュー塗った方が革も強くなるし、いいと思いますね。
──カシューは市販されているんですか?
露木 ああ、もうこれはホームセンターとかで売ってます。1個800円くらいで。
露木 今職人さんがやってくれますから。
露木 これは、ほんとに朱色ですよね。朱と赤があります。さっきそっちに置いたのは、赤ですね。並べると分かるんですよ。色が微妙に違うんです。
──ほんとだ。これは、オレンジっぽいですね。
露木 そうですね。これは朱です。
──こっちがカシューですか?
露木 いえ、両方ともカシューです。
──あ、それぞれ色があるんですね。
露木 はい。色が違うんです。
カシューにもね、何十種類も色があるんです。クリアもあったり。
──へえ、そうなんですね。
やっぱり、洗った後に、多少なりとも濡れることで浸透してしまったりしたものを、もう一度こちらで塗り直して補強するということでしょうか?
露木 そうですね。放置しすぎると、傷みが早いかなと思います。意外と縁ってダメージをうけやすいんですよね。
──打たれるところですからね。
露木 はい。これなんかも、あごのここの部分なんか剥げちゃってるんですよね。
露木 そうそう。ほらここ。こういう風になってきちゃうんですよね、打たれると。
──じゃあここは黒いカシューを塗りますか?
露木 そうですね。両方塗りますね。赤も。
──今から塗りますか?
露木 はい、塗ります。この顎のところも、汗とかで結構パキパキと剥げてきちゃってるので。
──撮ってもいいですか?
露木 いいですよ。職人さん、よろしくお願いします。
・まずは、赤いカシューから塗ります。
・次は、黒いカシューを塗ります。
面縁を塗るだけで見違えたように美しくなる
今回は、面縁の修繕の仕方について解説いただきました。
解説動画はこちら→ https://www.youtube.com/watch?v=s2zUphIE-k4&t=8s
剥げてしまった面縁は、見た目がよくないだけでなく、そのままにしておくと中の革が傷んでしまうので、定期的に塗ってあげたほうがいいのですね。
私も一度自分で塗ってみたことがありますが、内側を塗ることや、赤と黒の縁をきれいに塗り分けることが難しかったものの、とても楽しい作業でした。
皆さんも、一度試してみてはいかがでしょうか?
次回は。藍染リメイクについて、引き続き解説していただこうと思っています。お楽しみに!
関連記事
「剣洗」秘伝の技シリーズ(全9回)