ロシア生まれウクライナ育ちのフォトグラファー。写真を通して”感情”と”物語”を描く

2017年12月24日 • 海外剣道 • Views: 1256

海外で活動する剣士の職業はさまざま。今回のインタビューでは、ウクライナ代表選手、職業・写真家のアレックスさんにお話を伺いました。
スポーツ万能のアレックスがなぜ剣道を始め、何に魅力を感じているのか?また、アレックスが撮る美しい写真も必見です。

プロフィール


Alexander Konstantinov(アレクサンダー・コンスタンティノヴ)
ロシアのサハリン島で生まれ、10歳のときに家族でウクライナに。チェルカースィ剣道クラブ”鐵舟会”に所属しており、2011年からウクライナの代表選手。IT企業のクリエイター職を経て現在はフリーのフォトグラファーとして活動中。

大人になった自分を剣道が見つけてくれた


ぼくが剣道を始めたのは、23歳。まわりの方と比べると遅いです。それまで剣道を知らなかったこと、とても残念に思います。
でも、きっと僕が剣道を理解できる年齢になるまで、剣道は待っててくれたのかも。時期が来て、剣道が僕を見つけてくれたんだと思います。

自分に合うスポーツを求めて


子供の頃、本当にたくさんのスポーツを習っていました。
5歳の頃から、空手、テコンドー、合気道、ムエタイ…それぞれ1年〜2年くらい経験しました。さらに、僕は学校のフットボールクラブのキャプテンで、バレーボールでも地域の試合で優勝したりしていました。
このように色々なスポーツを経験しましたが、「本当は一体何が自分に合っているのだろう」と、探していただけなのかもしれません。

サハリンに帰った時に、地元の剣道クラブのポスターがありました。そしてウクライナの家に帰ってから数日後、友達が街の剣道クラブの練習に誘ってくれたんです!偶然の出来事ですが、僕の人生と武道に対する気持ちを変える大きなきっかけになりました。

僕の恩師はMihailo Shytkoさんといって、2007年にチェルカースィに剣道クラブを設立なさいました。もともと、先生はずっとアイルランドで剣道をしていて、ウクライナに戻ったタイミングでクラブを設立したのです。

現在はオランダで妻のオルガさんと過ごしている

ウクライナ(チェルカースィ)では週に3-4回稽古をしていました。しかし高段者の先生があまりいらっしゃらないため、できるかぎり他の国や街への出稽古、試合・セミナーへの参加もするようにしています。

無償のフォトプロジェクト”Kendofam(ケンドーファム)”

以前はIT企業のマーケティング部に所属し、そこで写真やビデオアニメーションの専門家として働いていました。現在はフリーのフォトグラファーで、妻のオルガと一緒に”Kendofam(ケンドーファム)”というプロジェクトを行っています。

“Kendofam”は”Kendo Family”の略称で、2015年にスタートしました。”Family(家族)”という単語を使ったのは、僕もオルガも写真を撮るからです。僕が試合に参加している時はオルガが代わりに写真を撮ってくれます。
妻のオルガさんも剣道をしている

僕たちはセミナーや試合に参加するために他国を訪れるのが好きで、その時に気づいたことがありました。みんな写真が好きなんです。”自分がここにいたこと”、”友人や家族と時間を過ごした瞬間”を、写真を通して思い出に残しておきたいんだなって。
一方で、写真を試合中に撮る人は少ないです。僕は写真家でもあるし、剣道が大好きです。そこでこの二つを組み合わせたプロジェクトを始めようと決めました。


Kendofam フェイスブックページ

このプロジェクトの目的は、”剣道家に分かりやすく、質の高い写真を撮ること”。これまで撮影した写真は全てオンラインで無償提供しています。
ただ、有り難いことに「フルサイズの写真がほしい」と言ってくださる方や、ご自宅での観賞用にキャンバスに印刷したいという方もいらっしゃって、そういったケースは有償で提供させていただいています。
家族やご友人への贈り物としても、ご自身のためのプレゼントとしても、おすすめです。僕は郵送する時、いつもとても幸せな気持ちになります。

いつか、このプロジェクトをもっともっと本格的にして、YouTubeでインタビューやチュートリアル試合の映像を作るチャンネルを作りたいと思っています。

Kendofam Instagram

写真を通して、人々の”感情”と”人生”を伝えたい

僕は、その瞬間瞬間で生まれるリアルな感情と、その背景にあるストーリーを写真を通して伝えることが好きなんです。
これはヨーロッパ剣道大会 女性の部の決勝戦の直後の写真です。


2017年にハンガリーのブダペストで開催されました。とても緊張感にあふれて見ごたえのある試合でした。残念ながら敗れたAsteria Akila(ギリシャ)さんがPauline Stolarz(フランス)さんに近づき、おめでとう、と伝えるシーンです。彼女たちはハグをして涙を流しました。お互いを心から尊敬する気持ちが伝わりました。本当に素晴らしいことです。試合のあとに友情が生まれ、深まることは剣道の醍醐味ー交剣知愛といえるでしょう。

武道の深みと”美”に魅力を感じる


剣道を始めてから、これまでの人生が単調で退屈とすら感じるようになりました。一度剣道を始めると、武道の深みと複雑さに驚かずにはいられません。それはまるで底なしの井戸や、頂きが見えない高い山。終りが見えず、到達するのはとても困難です。
セミナーや稽古は、自分の技術や打突を見直す良い機会で、さらに剣道が好きになります。

また、”美”も剣道の魅力。 激しく厳しい稽古、精神の鍛錬によってのみ、”美”の極みに到達できるのだと思います。

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