サムライ経営者が大切にするのは”絆”

2017年8月8日 • インタビュー, 経営者 • Views: 4771

 

プロフィール

森信啓太

東京都に生まれるも、幼少期に父親の転勤にともない関西に移り兵庫県で育つ。雲雀丘学園高等学校から関西学院大学に進み体育会剣道部に所属。商社勤務を経て2015年7月にケイ.アンビエンテ株式会社を設立。代表取締役に就任。

アパレル各社からのOEM/ODM受注生産、輸出入の貿易業務を中心に業務を拡大。最近では自社ブランドの展開もスタートさせて、川下戦略強化を目指す。社員そしてお客様との絆を大切に、繊維業界からの社会貢献を目指す。剣道は小学校3年生から始めて現在は教士七段。

 

 

剣道をはじめたきっかけ

森信「小学校三年生から剣道を始めました。当時は王さんが一本足打法で世界記録をつくっているような時代だったので、野球がメジャーでした。野球に憧れて本当は野球をしたかったのです(笑)」

 

ーなぜ剣道を始められたのでしょうか?

森信「父親が柔道をやっていたんです。ですので、近所に柔道の道場がなかったので、無理やり剣道を始めた感じですね。正直なところ野球がしたかったので、剣道を始めるのはとても嫌でした。

しかし、道場に初めて見学に行ったときに防具姿がかっこいいと思い、気がつくと何故か竹刀を握っていました。1年間剣道を続けてから、野球に転向しようと思っていましたが(笑)」

 

ー実際に、剣道をやってみて楽しかったですか?

森信「各学年で20~30人くらいはいた強くて大きい道場だったんです。小学3年生剣道を始めましたが、まわりは幼稚園や小学校1年生から剣道をはじめた子が多く、スタート段階でかなりの差がありました。

そんなメンバーにかなうわけがないとすぐに面食らってしまいました。あまり熱心になれず、小学生6年生までは週に1回程度しか稽古に参加していなかったですね」

 

ー小学校の時点では、あまり剣道の魅力を感じることができなかったのですね?

森信「そうですね。中学校は野球部に入ろうと思っていました。本当に野球部に入ったけど、やんちゃが過ぎて退部させられてしまった(笑)。その現場をみていた剣道部の先生が剣道部に誘ってくれたんです。救ってくれた恩師について行こうという気持ちが芽生え、厳しい稽古に重ねていきました。気がつくと、秋の市内の中体連の新人戦で個人優勝したのです」

 

ーすごいですね!そこから楽しくなっていったのでしょうか?

森信「そうですね。小学校時代の道場仲間とは違う中学校に進んだのですが、実力の差が相当縮まった実感がありましたね。自身が進んだ学校の方が稽古が厳しかったので、同級生との差が自然と縮まったんだと思います。」

 

 

剣道の学びをはじめて活かせたのは就活

ー剣道をやっていらっしゃって、生活面でどのような影響がありましたか?

森信「厳しい指導をしていただいたからこそ、人格形成に多大な影響がありました。今となれば剣道は自分の人生の全て。剣道は間合いの攻防、駆け引きの中に、会話がある。このやり取りは商売にも活きていると感じます。剣道のおかげで対人折衝能力がつきました」

 

ー特にどんな時に意識されますか?

森信「特に感じたのは就職活動の時。自己PRの時間と剣道の試合時間は同じくらい。就活も剣道も組み立てや間合いの攻防が大事ですよね。剣道で学んだそういったことを意識して就活に臨んだのです」

 

それは面白い観点ですね。就活に活かせたという視点は初めて聞きました。

 

お仕事について

ーいまはどんなお仕事をされているのでしょうか。

森信「いまは”ケイ.アンビエンテ株式会社”という繊維製品並びにファッション雑貨の輸出入および製造販売を行う会社の代表取締役をしています。以前は総合商社の繊維部門にいました。

商社時代はいろいろな国をまわりましたね。剣道をやっていたことで、海外にいっても商社大会で知り合いになった剣友にお世話になったりしました」

※ケイ.アンビエンテ株式会社(http://www.k-ambiente.net/

※同社で展開されているブランド「MR.&MRS.CHIEF」(https://mr-mrs-chief.shop-pro.jp/

 

ー剣道仲間がいろいろ助けてくれることは多いですよね。

森信「そうですね。竹刀握ったら即友達という感覚ですね。不思議と信用できます」

 

ー会社は何期目でしょうか?

森信「7月から第三期目が始まりました。会社は、特に立ち上げて間もない頃は簡単にいかないことのほうが多いと思います。なので、今は試練の時だと感じてます。この試練を乗越えたら、自分自身も経営者として一皮むけることができるのではないかと。

不動心的なメンタルのタフさは、剣道で培われていると思いますしファイティングスピリッツも磨かれた気がしますね」

 

ー会社経営において、剣道が活きている部分はありますか?

森信「体育会活動であれば剣道以外でも同じかもしれませんが、大学の体育会で”組織運営”を学べたと思います。60人程度の部員がいたので、まとめるのに苦心しました。

全員一般入試で入ってきた部員でしたので、初心者もいれば上級者もいる。剣道経験の長さの差でモチベーションが全く違うのです。必然的に団結させることは簡単ではなかったです」

 

ーそのときに学ばれた組織運営のポイントはどういったことでしょうか。

森信「小さな目標を積み重ねるということですね。当時の我々の大目標は”関西大会優勝“。しかしながら初心者の方からすればとてつもなくハードルが高い目標。ややもするとしらけてしまいます。なので、小さな山を一緒に一つ一つ登ろうとよく話しあいました」

 

ー具体的にはどういうことでしょうか。

森信「母校の剣道部強くするために皆で何が出来るかをかなり真剣に議論しました。将来的な戦力UPを目指して高校生の招待試合を我々の代で企画して始めました。その時は本当に徹底してよく話しあいました。

この話し合いのなかで『全員で自分達の剣道部を強くするんだ。そして選手だけでなくても色んな役割があるんだ』ということを皆で共有できたのはとても良かったと思います。当然ながら、皆イベント運営の素人。そのとき、右往左往しながらやり遂げたことが目標に向かって一つになるという団結力を高めることに繋がったと感じています」

 

ー皆が共感できる目標をつくったのですね。

森信「そうですね。大会運営のタイムテーブル作りから一から全員でOBOGの先輩方にも協力も仰ぎながら、なんとか軌道にのらせることができました。ある意味、この大会運営のおかげで現役のみならずOBOGも含めて一体感が生まれたように思います」

 

 

起業した理由は

ー独立された理由を教えていただけますか?

森信「バブル以降に社会に出たので、起業するまでの間に色んな不条理を経験しました。事業縮小や事業部統合はもとより、分社やM&Aをされるもするも含めて一定の経験をしました。辛いことも沢山ありましたが、剣道のおかげでそれを乗り切るタフさが身についていたように思います。

その不条理からも沢山のことを学び、前向きに生きてきました。そういう意味では前職はもとより今までお仕事で出会った方々には本当に感謝しています。ただ、最後の不条理だけはどうしても前向きにとられることが出来ませんでした。このままでは一緒に戦ってきた仲間が幸せになれないと強く思い、仲間と一緒に独立するという選択肢を選びました」

 

ー仲間も一緒に独立するというのは覚悟がいると思います。社名の由来を教えてください。

森信「就職してからもチームワークを大切にやってまいりました。何よりも絆を大切にしたかったですね。弊社の社名のケイ(K)の由来はそこに色んな意味をみんなであてていくということにしています。普遍の意味としては「絆」。アンビエンテ(Ambiente)はラテン語では空間と環境という意味です。ですので「絆空間」というのが本質的な社名の由来です」

 

ー何名で独立されたのでしょうか?

森信「20名ですね」

 

ー大人数!スケールが大きい話ですね。

森信「身の程知らずですね(笑)。でも仲間を大切にしたかったです。やはり人間関係においては仁義を欠く行為はしてはいけないということです。これも武士道ですね」

 

 

目指すは雇用の継続。絆を大切に

ー経営されていく上で、大切にされていることを教えてください。

森信「社名の由来の通り絆を大切にしています。今の時代だからこそあえて雇用の継続に挑戦しようと思っています」

 

ーすごい覚悟ですね。

森信「覚悟はいりますね。しかし、それは従業員も同じだと思います。頑張り次第でメリハリはつけているつもりですが、弊社はまだ社員全員に満足できる待遇で迎えれる状況でもありません。それでも『この会社で働きたい』と言って入社してきてくれるスタッフもいます。

繊維業界は慢性的な不況ですので、経営と従業員双方が覚悟を決めて絆を大切に挑戦していることがとても大切であると感じています」

 

ー今後どういった会社にされていきたいですか?

森信「会社としての得意技をもちたい。この技だったら、誰にも負けないという類のものです。簡単にはいかないと思っています。絶え間なく、努力するしかない。ですが、中学校の時に市内大会で優勝できたように努力の継続のなかでいつか光明がみえると信じています。『雲外蒼天』ですね」

 

ー剣道も急に強くなることはありません。

森信「そうですね。何事も努力の継続が大切です。剣道で培った忍耐力はあると思っています」

 

ー男気溢れる森信先生の会社で勤務されたいと思われた読者諸氏もいたのではないでしょうか。本日はありがとうございました。

 

 

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