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『ジャパニーズ サシコ アイゾメ』を広めたい。 仙台発、新進気鋭のアパレルブランド

刺し子の文化を海外にも広めたい。enn living worksは刺し子をつかったバッグ、小物などを製造しているアパレルブランドです。事業部の方々は皆さん剣道経験者です。今回は、刺し子を広めたいワケ。クラウドファンディングで資金調達したお話など、余すところなくお伝えします。(2017年05月)

プロフィール

ENN株式会社 代表取締役 熊谷佳樹 氏

ENN株式会社 ワードローブ事業部長 熊谷朋文 氏

ENN株式会社 ワードローブ事業部 職人 黒崎誉道 氏

社長のご経歴

—社長のご経歴をおしえてください

熊谷社長「新卒で住宅メーカーに入ったけれど、1年しか続かなかったんです。新卒で入った会社でも飲食をやりたいと、悶々としていました。悩んだすえ、住宅メーカーを辞めて地元仙台に帰ってきました」

enn living worksのキャップをかぶる、熊谷佳樹社長

—いつ頃起業されたのでしょうか?

熊谷社長「8年くらい飲食店の社員として働いていました。最後のお店で、店長を任されました。30歳で辞めて独立しました」

 

—今は飲食店を2店舗経営されていらっしゃいます。なぜ、ワードローブ事業(enn living works)を立ち上げられたのですか?

熊谷社長「元々、衣食住を回すことに興味があったんです。『食』は飲食店をやっている。洋服もずっと好きだったから、『衣』もやりたかった。『住』は不動産事業をやりたいわけではなく、生活に関わる小物やインテリアなどのことです。会社として衣食住を回せれば、最強だろうなと思っていました」

 

—Quality of lifeをあげる会社というイメージですね。

熊谷社長「かっこよく言うと(笑)。弟の朋文も共感してくれたのでとりあえず飲食から始め、その後『衣』と『住』をやっていこうという話になりました」

 

—朋文さんも、最初は飲食店で働いていらっしゃったのですね。

熊谷朋文事業部長

朋文「ワードローブ事業部が出来るまでの、1年くらいは飲食店で働いていました。元々、enn living worksの具体的な構想はなかったけれど、友人だった黒崎が自分1人で道着のリメイクをやっていたんです。そこからヒントを得ました。黒崎とは神奈川の湘南に住んでいた時に、家も近くて剣道をきっかけに知り合いました」

 

ーもともと、お知り合いだったのですね。

朋文「黒崎の商品を買取って、うちの飲食店にきたお客さんに売っていました。その後、黒崎に声をかけて、仙台にこないかと脅したのです(笑)」

熊谷社長「仙台に来なかったら、家族全員の腕を折ると言って」

黒崎「腕を折られたくないということで、仙台にやってきました(笑)」

仲良しな3人。左から、佳樹社長、黒崎職人、朋文事業部長

熊谷社長「実際、黒崎1人でやっていくのは大変だったと思います。自分で営業をする時間が増えれば製作時間が減り、製作をしていれば営業が出来ない。だったら仙台に来てもらうことになるけれど、会社単位でやっていきましょうということになったんです」

 

—当時、こちらの実店舗はなかったのですか?

朋文「全くない。僕も飲食店を手伝っていたし」

 

—その時は、どのように宣伝されていたのですか?

熊谷社長「仙台の飲食店に来た剣道関係者にサンプルを買い取ってもらい、宣伝をしていました。本格的に事業として取り組みたかったので、黒崎のことを口説きました」

 

—黒崎さんは、仙台に縁もゆかりもないですよね?

黒崎「なにもないです。でも、一緒にやりたいと思いました」

熊谷社長「最終的にはやりますという返事をもらったから、工房とちょっとしたアトリエになるような場所を借りました」

 

剣道に特化したアパレルブランドにした理由

 

—「『衣』と『住』を会社でやるという話だけでしたら、剣道である必要性はないですよね」

朋文「それはやはり、剣道に対する感謝ですね。ちなみに『住』は僕も同じ捉え方で、生活が豊かに少しでもハッピーになるアイテム、空間、音楽などを考えています。例を挙げると、音楽と一緒に飲むコーヒーも『住』だと思っている」

熊谷社長「やりたいこと・できること・やらなくてはいけないことが、”enn living works”という事業でリンクしました。黒崎との出会いも大きいです」

一心不乱にミシンを踏む、黒崎職人

—刺し子を使った商品が多いと思います。日本の伝統的な技術を活かして『衣』・『住』に貢献したいというところから、この素材を選ばれたのですか?

朋文「当初、使用済みの道着でものをつくることがメインでした。自分の思い出が詰まった道着がバッグになれば、身近な生活の一部として復活しますからね」

 

ーギフトにもよさそうですね。

朋文「学生の皆さんですと、卒業した時に自分の汗や思いが染み込んだバッグをお父さん・お母さんにプレゼントするというのは、いいギフトになると思いました」

 

転換点になった、kibidango

クラウドファンディングサービス「kibidango」

—kibidango (enn社が¥1,191,247を集めたクラウドファンディングのサービス名)に書かれていた、製品化に向けご苦労なさった話を教えてもらえますか?

熊谷社長「始める段階で資金がなかった。みんながやっていないことでもあり、中古道着のイメージは剣道=くさい・汚い。資金調達に苦労しました」

 

ー資金調達の意味合いが大きいと。

熊谷社長「新品の刺し子を使おうとなっても、特殊生地だから大量ロット入れるというのが難しい。工場も1個や2個では作ってくれず、生地を持ち込んで大量に作るとなってもそこそこの資金がかかります」

 

—クラウドファンディングを募集した期間はどれくらいだったのですか?

熊谷社長「1ヶ月。ありがたいことに、120万円近くあつまりました」

 

—それはすごいですね。どのタイミングで目標達成したのですか?

熊谷社長「ギリギリで。やばい、いかないぞと焦りました。サービスの運営者側に聞くと、みんなギリギリで投資するそうです」

 

ーやはり、そうなのですね。

熊谷社長「ギリギリだとまずいと思いましたが、80~90%になってから一気に上がってきて結果オーライでした」

 

—剣道をやっている人以外にも、刺し子という文化を伝えられたいのでしょうか。

熊谷社長「刺し子を知らない人にも『良いね、あっこんな生地あったんだ』、『剣道着の生地がリメイクされるとこういう感じになるんだ』と思ってもらえれば嬉しいです」

 

—目標を達成できて、よかったことはなんですか?

熊谷社長「生地・工場のラインが確保できた。実際にオーダーが出来たから、付き合いが始まりました。その信頼関係があるので、今後はやっていけます」

朋文「工場や生地屋さんは、実績がないとマニュアル通りにしか動いてくれません。色々考慮してくれるのは、発注という第一歩目を踏み出さないとできないことですから」

 

—まずは信頼関係を構築することができた。

黒崎「オーダーを継続するという信頼関係ですね(笑)」

熊谷社長「得体の知れないやつに、そんな小ロットの仕事うちでは出来ないよということみたいです。kibidangoのクラウドファンディングはすごく良い第一歩目になりました」

 

—クラウドファンディングで資金が集まって、難しい点・苦労している点はありますか?

熊谷社長「黒崎が作るものは1人で作っているから、切り出し・縫い・パターンの全工程が把握できる。1個1個時間がかかるけれど、これぐらいだったら、あと2日で出来る、といったようなその場でどう出来上がっていくかを把握出来ますよね」

 

ー工場でつくるものは、把握が難しいということですね。

熊谷社長「工場はやりとりが大事で、出来上がりとこちらのイメージが若干違うということもある。密なやり取りが、より重要だということが分かりました」

 

—現状の販路はリアル店舗とWebストアですよね。販売面で難しいと思われることはありますか?

朋文「難しいことしかないですが、資金調達できたおかげで体制も整いつつあります。剣道大会への出店も強化しています」

enn living worksの販売代理店を務める、「一仁」 岩崎代表

 

岩崎「国体に出店したときは、持って行ったTシャツ商品が完売しました。とくにKidsものが売れたので、そのあたりに需要があるのかもしれません。アメリカンテイストな商品ですので、目を引くようです」

ブランドとしての、強みの模索

 

熊谷社長「黒崎が作るものに関しては、お預かりした道着でものを作る。他でやっているところがなく、価値が分かりやすい商品でした。一方、小物を工場で作ると、こちらの思いはすごくあるけれど、ユーザーに伝わる価値が小さくなってしまう」

 

ーそれはジレンマとして、ありそうですね。

熊谷社長「将来的には海外に持っていかないと売れないだろうという話はしています。海外で売れている日本のブランドということで、逆輸入されることが理想ですね」

 

—剣道をやっている方々の中でも、御社を知らない人がまだまだ多いです。

熊谷社長「まだ始めて1年。知っている人の方が少ないですね」

 

—認知したら欲しい人もいると、たくさんいると思います。

朋文「弊社の強みは、黒崎が実際にミシンを踏んでいるところ。自分の使用していた道着をフルオーダーメイドで割とコンスタントに手元まで届くというサービスは、日本でも1社もないと思う」

 

—そこは模倣されづらいですね。

熊谷社長「そこが原点であり、最終的な強み」

朋文「この商品は黒崎が作っていないけれど、ennで作っているということで付加価値になれば良いと思う」

 

—黒崎さんを全面に押し出して、『黒崎さんのenn living works』というブランディングも考えられますよね。

 

逆輸入で刺し子ブームをつくりたい

熊谷社長「防具屋におしゃれな大学生が弊社のバッグを買いに来るとか、すごくかっこいいと思う」

 

—そういったポジションになれば、剣道のくさい・汚いといった悪しきイメージが向上していきそうです。

朋文「最終的にenn living worksのバッグかっこいいよね、となった時に剣道というものが世の中に広がっていくことがベスト。海外に持っていった時に、『ジャパニーズ サシコ アイゾメ?』というところから剣道と知ってもらい、日本の剣道が認知されて欲しい。剣道人口増加に関して、具体的な普及活動は出来ないかもしれないけど、剣道の普及には違った角度から寄与したいですね」

 

—御社ならでは、剣道への貢献方法ですね。本日はありがとうございました。

今回インタビューを受けていただいたenn living worksさんの商品ページはこちら
インタビュアー

◎Bushizo株式会社 代表取締役 上島 郷

1987年生まれ仙台出身。仙台高校剣道部時代に佐藤充伸氏に師事、インターハイベスト8。

大学卒業後、全米で200店舗展開する外食チェーン店の事業開発責任者を務める。外資インターネット広告運用企業での営業職、株式会社イノーバで営業部・社長室リーダーを経て、2017年1月にBushizo株式会社を設立。

 

◎Bushizo株式会社 取締役 工藤優介

1984年生まれ北海道出身。 立教大学法学部卒業。在学中にはフリーマガジンの創刊、アパレルブランドのマーケティング支援を携わる。2008年ヤフー株式会社へ入社。検索連動型広告・ディスプレイ広告などの広告商品の営業に従事。2017年1月にBushizo株式会社を設立。 6歳から剣道を始め現在に至る。

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